泡瀬訴訟 住民が敗訴 経済、環境主張退ける 高裁那覇支部


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 国と沖縄県の中城湾港泡瀬地区公有水面埋め立て事業と埋め立て地を利用した沖縄市の東部海浜開発事業で、周辺住民ら263人が県と市に公金支出の差し止めを求めた第2次泡瀬干潟埋め立て訴訟の控訴審判決が8日、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)で言い渡された。多見谷裁判長は住民側敗訴を言い渡した那覇地裁判決を支持し、住民側の控訴を退けた。住民側は上告するとしている。

 住民側は事業に経済的合理性はなく、環境や防災面での配慮を求めた公有水面埋立法にも違反するなどと主張。行政の裁量を大きく認めた地裁判決を批判し、高裁には事業計画の判断過程にも踏み込む「厳格な司法審査」を求めてきた。

 判決で多見谷裁判長は、事業が「経済的合理性を欠くものとは認め難い」と指摘。本島中部の経済の活性化を図る目的で事業が実施されるなどとして、県や市に委ねられた裁量権の範囲内と判断した。

 環境については「国民生活および動植物の生育環境の保全の観点から重大な生育域を失うものではない」などとした。

 防災面でも、県の審査過程に「看過し難い過誤、欠落があったとまでは言えない」とした。