石垣(男子)加納(女子)初V 石垣島マラソン


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 【石垣】第15回石垣島マラソン(主催・石垣市、市教育委員会、市体育協会、共催・琉球新報社)は22日、同市中央運動公園を発着点に4416人が出場し行った。フルマラソン男子は石垣弘志(神奈川)が2時間25分16秒で初制覇し、女子は加納由理(東京)が2時間49分47秒で初の栄冠を手にした。

 大会はフルマラソン、24キロ、10キロの3部門で競った。完走者は4275人。完走率はフルマラソン96%、24キロが97%、10キロは98%だった。

 この日は曇り空で気温は17度前後。風速は5~7メートルで、ランナーは時折吹く強い風に苦しみながらもゴールを目指した。沿道では市民が手をたたいたり声援を送ったりしてランナーの背中を押した。

◆充実の2時間20分台/石垣、序盤からレースけん引

レース後半に入り、後続選手との差を広げる石垣弘志=22日、石垣市大浜

 石垣弘志(神奈川)は「自分のペース」に集中したレース展開で、終盤の独走につなげ初の栄冠をつかんだ。記録は目標の2時間20分台。「自身初の優勝でもあり非常にうれしい。とても気持ちよく走ることができた」と充実感に満ちた表情を見せた。序盤からトップに立ちレースを引っ張った。すぐ後ろに2位に入った川内鴻輝(埼玉)が追走し、並走する場面も複数回あったが「とにかく他は気にせず、自分のペースを意識した」と振り返る。

 海沿いから山裾のコースに移り上り坂が多くなった中盤。後続選手のペースが落ち始めた。25キロ地点の細かな起伏には自身も苦しめられたが、同地点辺りで後続の気配は消えた。「気持ちに余裕ができた」と、そのまま後半の粘りにつながった。

 大学時代は駅伝選手として力を磨き、本格的にフルマラソンを始めたのは3~4年前で、大会出場も5、6回目。過度な練習で右足首を痛め、昨年12月に出場を予定していた大会を棄権した。今回も万全ではなかったが「想定通りに走ることができた」と、一年の好スタートを喜ぶ。今年は30歳の節目の年で「2時間15分を切る走りを目標に、楽しみながら大会に参加していきたい」と静かな闘志を見せた。(謝花史哲)

◆元日本代表が大会新/加納

大会新記録でゴールし初優勝を飾った加納由理=22日、石垣市中央運動公園陸上競技場

 女子マラソン元日本代表の力を発揮し、加納由理(東京)が大会新記録で初優勝した。思った以上にスタートからの滑り出しが良く「行けるところまで行こう」と走り抜き、結果が付いてきた。「タイムより優勝できたことがうれしい」と目を細めた。

 名古屋国際女子マラソン優勝やベルリン世界陸上7位の成績を残すなどトップ選手として活躍。2014年に一線を退いたものの「生涯ランナー」を掲げ、トレーニングを続ける。

 今回は旅行を兼ねて初参加し、コースも全く分からないままスタート地点に立った。「1キロ4分15秒ペースで2時間台の走りができれば」と気軽な気持ちだったが、レース序盤4分を切る快調なラップに、そのまま身を任せることを決め、足を運んだ。

 ただ20キロ地点ごろから起伏を繰り返す山裾の道に差し掛かり、登り坂でタイムを落とし、下り坂で挽回する展開に体力を削られた。「山を一つ越えるような足に負担が掛かる厳しいコースだった。最後の強い風もきつかった」というが、レースは終始、他を寄せ付けずトップを維持し続けた。

 沿道からは温かい応援があった。初の石垣島での大会を振り返り「また機会があれば参加したい」と笑顔を見せた。(謝花史哲)