特別な1枚 沖縄で 注目集めるロケーションフォト


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撮影場所を自由に選び、特色ある写真撮影を楽しむ「ロケーションフォト」が人気を集める中、海を背景にリラックスした表情で撮影に臨む仲尾淳貴さん(右から2人目)と優美さん(右端)夫妻=北谷町のアラハビーチ

 屋外など撮影場所を自由に選び、自分たちだけの特色ある写真撮影を楽しむ「ロケーションフォト」が人気を集めている。写真館の屋内スタジオで撮影するのが主流だった時代から、沖縄の青い海や豊かな自然などを背景に、好みの衣装とポーズでリラックスして写真を撮影する場所重視の時代に変わってきている。

こだわりの1枚

 浦添市港川の外人住宅街の一角にロケーションフォトを手掛ける「ENJOY!WEDDING」がある。客は店内に取りそろえた衣装や小物を選び、撮影スタイルや場所の提案を受けながら自分たちだけのロケーションフォトを作り上げる。撮影を担当するのは、もちろんプロのカメラマンだ。オーナーの遠藤茉利子さんは「結婚や妊娠・出産記念、成人式などの機会に、こだわりの1枚を残したいというニーズがある」と説明する。県外からの問い合わせも多い。

 昨年夏、結婚記念でロケーションフォトを体験した那覇市の林貴徳さん、優美さん夫婦は、北谷町のアラハビーチでおそろいのスニーカーを履いて撮影に挑んだ。「撮影前は暑くないかなとか心配もあった。でも撮ってみたら楽しくて特別感があって良かった」と貴徳さん。優美さんは「今度は友達同士で30歳の記念にもう一度やりたい」と笑顔で話す。

ドレスも進化中

 式を挙げず、写真だけで結婚式を済ませるフォトウエディングの利用がロケーションフォトの主流だ。撮影場所に加え、店舗選びのポイントとなるのがドレスだ。

 フォトウエディングの手配と、リゾートウエディングに特化したドレス制作を手掛ける「ST Wedding」(那覇市)には昨年、160件の問い合わせがあった。前年の約2倍という。代表の高本小百合さんは沖縄の風景や太陽の光に美しく映える色彩をドレスに求める。海辺で着て楽しめる丈の短いドレスも独自に制作した。

 上海への留学経験を生かして店のホームページを中国語に対応したところ、香港・台湾からの申し込みが殺到した。「海外のお客さまの方がフォトウエディングへの関心が高いのでしょうか」と驚いている。

リゾートに熱視線

 県観光振興課によると沖縄でのリゾートウエディングの実施組数は2015年度で1万4175組に上った。05年度のおよそ3倍に当たる。同課の禰保芳美主任は「このうち約26%のカップルがフォトウエディングのみを行っており、その割合は年々増えている」と語る。挙式を省く世代の結婚が増加を見せる中で、沖縄というリゾート地にこだわるカップルは海外にも多い。

 沖縄観光コンベンションビューローの前田佳名恵主事は「近年は海外からの問い合わせが毎年約30%ずつ増えている」と説明する。

 ロケーションフォトの利用は、県外からの利用者にとどまらない。県内で多くのロケーションフォトを扱う千代田ブライダルハウスの担当者は「非日常の雰囲気で思い出作りを楽しみたいという県民の要望にも応えている」と浸透ぶりを語った。
文・李真熙
写真・上原修