悩み共有し社会復帰 沖縄県の薬物再乱用防止教室3年目


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県の薬物再乱用防止教室で「薬物を避けて賢く付き合う方法を学ぶことができた」と語る男性=浦添市仲間

 麻薬や覚醒剤などの薬物の摘発人数が県内で年々増加傾向にある中、県が2014年に始めた薬物再乱用防止教室が1月、3年を迎えた。毎週1回、10回1セットで、16年までの参加者は約60人。薬物使用経験者らは「ここなら自分の気持ちを打ち明けられる」と、他人に告げられない悩みや不安を互いに共有しながら、薬物に頼らない社会復帰を目指す。同教室を担当する県薬務疾病対策課は「医療機関や支援施設は敷居が高く感じる初期の薬物使用者は多い。そんな人に気軽に参加してほしい」と呼び掛けている。

 県によると、県内の覚醒剤や大麻、指定薬物などの薬物事犯の15年の摘発人数は、前年より57人多い200人。最も多いのは覚醒剤で、そのうち約6割が再犯だという。再犯率の高さなどを受け、県が教室を開始した。

 14歳で薬物に手を出し、断続的な使用を続けた男性は、成人後「仕事のストレスで、どうしようもない感情の波が押し寄せるときの逃げ道が薬物だった」と振り返る。約2年前に刑務所に入った。刑期中に元薬物依存症者で、社会復帰を果たした人と出会い「立ち直りたい」との気持ちが芽生えた。出所後すぐに同教室に通い始めた。

 教室では薬物使用経験者が互いに意見を出し合いながら、依存症から回復する道を考える。「同じ経験があるからこそ安心して気持ちを吐き出せる。人を信用できるようになり素直になれた」と、教室に通い始めてからの変化を語る。一度教室を修了したが「『これで大丈夫』ということは絶対にない」と語り、可能な限り通い続ける予定だ。

 同教室に関する問い合わせは県薬務疾病対策課(電話)098(866)2215。薬物に関する相談は、同課の他、各保健所、県総合精神保健福祉センターでも受け付けている。