沖縄県内大学野球 “野球女子”が新風


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公式戦初出場し、打席に立つキリスト教学院大の名護晴香=9日、沖縄セルラースタジアム那覇(崎原有希撮影)

 選手としてのプレーを望む“野球女子”の純粋な気持ちが、沖縄県内大学野球に新鮮な風を吹き込んでいる。9日の沖縄セルラースタジアム那覇。第97回九州地区選手権南部九州ブロック大会の名桜大―沖縄キリスト教学院大戦には、県内大学の公式戦では初めて女子選手2人が出場した。初登板初勝利の「あっぱれ」なマウンド度胸を見せた名桜大4年・外間千砂登(21)に加え、キリ教大2年の名護晴香外野手(19)=右投げ右打ち、163センチ=も代打で登場。投手対打者としての女子選手の対決となり、盛り上がった。(崎原有希)

 憧れていた野球で夢のグラウンドに立ち、名護の表情は輝いた。外間との対決ではフルカウントからの見逃し三振に終わったが、右翼手として守備にも就いた。「もっと成長したい。打って塁に出たい」。笑顔を絶やさず貪欲に突き進もうとしている。

 小学5年から高校3年までは硬式テニスに明け暮れた。具志川東中やコザ高で県大会上位入賞するなど実力は折り紙付き。父や兄、弟は野球経験者で一緒にキャッチボールなどをすることもあり、野球も幼少から身近な存在だった。コザ高時代に高校野球を観戦し、球児が懸命に白球を追う姿に心を動かされた。「すごい。楽しそう」。野球への思いに火が付いた。

 高校と違い大学は女子も公式戦出場が可能だ。「男に生まれ変わったら野球をしたい」という思いを胸に秘め続けていた2年進級前、金城雄彦監督の誘いもあり、硬式野球部に入部した。テニスで鍛えた腕の振りも生き、金城監督は「トスバッティングはそこらの男子よりうまいのでは」と評価する。一方、テニスのフォームが染みついており、野球に適したスイングに変えることに苦労する。

 競技を本格始動してまだ1カ月ほど。初打席の三振は「みんなから応援されたのに」と悔やむ。右翼手も任され「代打としか聞いていなかったのでびっくりした」と目を丸くした。

 全体が見渡せる外野はスタンドなどで観戦していた時と違い「ほかの選手と同じ場所に自分がいる」と一体感も覚えた。初実戦を経て「もっと(バットを)振っていきたい」と目を輝かせる19歳の挑戦は始まったばかりだ。