県内国税額 最高 好調経済が押し上げ 支払い額、類似県上回る


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 2015年度の沖縄の国税徴収額が過去最高に達した。目標入域客数の上方修正が続く観光業などで経済情勢が好調に推移し、法人税や所得税額を押し上げていることが背景にある。16年度の有効求人倍率も復帰後初めて1を超えるなど企業活動は活発化しており、国税徴収額も当面増加が続くことが予想される。一方、沖縄からの国税徴収額が、国から投下される内閣府沖縄関係予算を上回る「支払い超過」の状況が定着しつつあることも浮き彫りになった。

 沖縄は米軍基地の存在によって予算措置で「優遇されている」との認識が根強くあるが、実際はむしろ国税支払い額の方が多い。

 政府は「骨太の方針」に沖縄を「日本のフロントランナーとして経済再生のけん引役となるよう国家戦略として沖縄振興策を推進する」と明記するが、既に沖縄は、復帰45年を経て自立型経済が構築されつつあることを示す。

 産業構造の偏りや雇用環境の改善など課題はあるが、沖縄の実質経済成長率が全国トップクラスに位置する中、この状況をいかに維持・発展できるかが問われる。

 こうした指標を踏まえ、基地と予算の「リンク論」に関する誤解をどう払拭(ふっしょく)するかが県にとってのもう一つの課題だとも言える。

 15年度で見ると、沖縄の国税支払い額は全国47都道府県のうち29位とおよそ中位。併せて総務省の都道府県の分類で沖縄県は、財政指数が0・3未満の高知や島根など類似10県に含まれる。地方税や地方交付金、国庫支出金、地方債など歳入で沖縄の人口1人当たりの金額は、類似10県のうち2番目に少なく、全国では20位だ。つまり類似10県のうち沖縄よりも「もらっている県」は8県ある。一方で沖縄の国税支払い額はこれら類似県を大きく上回る。

 沖縄は「国からもらいすぎ」でもなければ「国に払う税金が少なすぎる」わけでもない状況が、経済活動を背景に定着してきていると言えよう。

(島袋良太)