沖縄県の「無料塾」400人増 困窮世帯の高校生ら支援、教室数10カ所に


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
沖縄県内各地に設置された「無料塾」の様子=2016年12月、石垣市

 沖縄県は、生活困窮世帯の高校生を対象に開設している「無料塾」事業について、2017年度の募集人数を、昨年度に利用した95人の4倍以上に当たる400人に増やすことを決めた。県が昨年実施した高校生調査で「困窮世帯」の割合が29・3%に上ったことなどを受け、募集人数を増やすほか、教室の数も4カ所から10カ所に増やす。各教室は現在、入塾を希望する高校生を募っている。

 無料塾は県が「子育て総合支援モデル事業」と位置付け、授業料や教材費などを全額補助している。対象は大学や専門学校への進学に意欲のある高校生で、ひとり親家庭など児童扶養手当受給世帯のほか住民税非課税世帯、生活保護受給世帯、里親家庭や児童養護施設で暮らす子どもが対象となる。

 昨年度は高校3年生72人、高校1・2年生23人が無料塾を利用した。そのうち、62人が大学や専門学校などを受験し、52人が進学した。合格率は83・6%だった。

 本島中南部で事業を請け負う尚学院は昨年度無料塾に通った生徒の感想文をまとめた。那覇市内の高校から看護専門学校に合格した1人は「無料塾でたくさんの友達と励まし合いながら受験勉強ができ、先生方からたくさん教わることができて良かった。夢への第一歩を進めることができた」と支援に感謝した。

 うるま市内の高校から琉球大に合格した1人は無料塾の支援に感謝し「将来、沖縄の貧困家庭の子どもたちを1人でも多く支援できる仕事に就き、恩返ししたい」とつづった。

 本年度事業で、本島中南部では従来からあった那覇教室、沖縄教室に加えて仲井真教室、与那原教室、糸満教室、宜野湾教室、うるま教室、嘉手納教室の6カ所が新規に設置される。そのほか、昨年11月から運営している名護教室、宮古教室、石垣教室でも引き続き実施する。