チーイリチャー危機 ファン悲鳴「早く再開を」 本場・金武は月内、全店で終了


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入荷の見通しがない、豚の血。残り少ない在庫で「チーイリチャー」を皿に盛り付ける、太田勝さん=12日、金武町の居酒屋「じんじん」

 ファンから熱狂的な支持を集める沖縄の郷土料理「チーイリチャー(豚の血炒め)」。県北部食肉協業組合(名護市食肉センター)の不適切な採血方法が原因で豚の血の出荷が止まっていることを受け、チーイリチャー(豚の血の炒め煮、チーイリチー)を日ごろから食する文化が根付く金武町では波紋が広がっている。金武町でチーイリチャーを販売する12店舗のうちすでに10店舗は血の在庫がなくなり販売を停止、経営にも影響が出始めている。現在販売している飲食店も5月中に在庫がなくなる見通し。県北部食肉協業組合によると、販売再開のめどは立っていない。飲食店や町民からは「お祝い事や行事でチーイリチャーは欠かせないので困る」「早く再開してほしい」とする悲痛な声が上がった。

 本島で豚の血を卸しているのは県北部食肉協業組合のみ。離島の食肉センターから取り寄せる案も出ているが、輸送コストや保管方法などの課題もあり、解決に至っていない。

 1969年からチーイリチャーを販売する金武町の久松食堂は10日で販売を停止。オーナーの宜野智(さとし)さん(54)は「一番の看板メニューでお客さんの7割がチーイリチャーを食べる。早く再開してもらいたい」と求め、売り上げへの影響を懸念した。チーイリチャーを食べに宜野湾市から訪れた安座間剛さん(49)は「これを目当てに食べに来たのに。早く食べられるようになってほしい」と話した。

 チーイリチャー弁当を販売する「菜菜」では、まだ在庫があり販売しているが「5月中になくなる見込み」だという。店で最も売れるメニューで従業員は「売り上げに大打撃」と、経営への影響を心配する。

 チーイリチャー弁当を買いに来た金武町の宮城健さん(48)は「週1で食べてる。この独特の味が好きなのに…。必ず復活してほしい」と話した。金武町の仲間安二さん(45)は「今まで食べてこられたのに、なくなったらとても残念だ」と肩を落とした。

 金武町産業振興課の安富祖勧課長は「チーイリチャーは地域に根付いた食文化。食べられなくなるのはかなり問題だ」と話した。(阪口彩子)