「障がい、自分の個性」 脳性まひの伊佐さん、沖縄水産高で講話


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
ソフィアでの生活について語る伊佐重紀さん(右)と看護課長の玉城伸一さん=4月24日、沖縄水産高校

 【糸満】糸満市阿波根の障がい者支援施設「ソフィア」の利用者の伊佐重紀さん(28)と看護課長の玉城伸一さん(43)が4月24日、沖縄水産高校(大城栄三校長)の総合学科福祉サービス系列で講話した。脳性まひで車いすを利用する伊佐さんは「確かに不便なところは多いけど、障がいは不幸ではない。自分のことを受け入れて良いところを伸ばしてくれる人がたくさんいる」と語った。1年生20人が熱心に耳を傾けた。伊佐さんの寝返りを介助する実習も行った。

 福祉サービス系列はソフィアで施設実習をしている。伊佐さんの講話は昨年に続き2回目。日頃実習の機会が少ないことから、初めて伊佐さんの介助を行った。

緊張しながら伊佐さんの寝返りを介助する生徒

 「しーげーの生きる喜び」と題して語った伊佐さんは、自身の生い立ちから紹介した。小学校から特別支援学校に通い、19歳からソフィアで生活する。小学生の頃から書くことが好きで、率直な思いを詩につづる。「小さい頃は何でこんな体になってしまったかネガティブな考え方をしていたが、今はこれで良かったと思っている。人の優しい気持ちも分かる」と話した。その上で「自分は自分で良かった。障がいは不幸ではなく個性と考えるようになった」と語った。

 また、介護タクシーを利用して外出を楽しんでいることも紹介。「物を落とした時に拾うことができない。でも、しゃべれるから『これ取ってください』と声掛けし、自分で住みやすい地域にするように一生懸命やっている」と語った。

 玉城さんは「介護技術の基礎・基本」について説明した。伊佐さんの寝返りを介助する実習では、「介護は一人一人違う。利用者を知ることで、その人がどういう介護を望んでいるか分かる。どんどんコミュニケーションを取ってほしい」とアドバイスした。

 初めて介助をした徳浜蘭さん(15)は「けがをさせたらどうしようと怖かったが、コミュニケーションが取れて楽しかった。将来は看護師になりたい」と目を輝かせた。