沖電、卸電力新メニュー 小売り自由化 新規向けで検討


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 電力の小売り全面自由化に伴って新規参入した電力会社(新電力)に対して、沖縄電力(浦添市、大嶺満社長)が電力卸売りの新メニューの創設を検討していることが17日までに分かった。電力供給を地域独占してきた大手の沖電に対し、自由化に伴う競争環境の整備に協力するよう国からの要請が強まっていることを受け、新電力が電力を確保する機会を増やす。

 沖縄には電力を取引するための卸売市場がなく、県外の電力系統ともつながっていないことから、新規参入を検討する新電力にとっては電力確保が難しい状況となっている。

 15日に経済産業省で開かれた総合資源エネルギー調査会「電気・ガス基本政策小委員会」で沖縄エリアに関する事業者ヒアリングがあり、沖電の担当者は新たな取り組みとして「需給調整用の卸電力メニュー」の創設に向けて検討していることを明らかにした。

 卸電力メニューの具体的な内容や開始の時期、販売価格などは今後、決めていくという。価格の方向性については「電源固定費を含んだ設定とし、当該費用回収の確実性を担保したいと考えている」とした。

 太陽光で発電ができない夜間時間帯といった新電力の供給電力の不足分を補うために、沖電は現在も新電力へ電力を卸売りする「常時バックアップ」を実施している。経産省と公正取引委員会の指針は、新電力の特高・高圧需要の3割程度をバックアップするよう求めているが、沖電はそれを超える割合についても柔軟に対応しているという。

 しかし、経産省の「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」が2月に公表した中間取りまとめで、電力の卸市場活性化に向けてさらなる自主的な取り組みを沖電に求める記述が盛り込まれたことを受け、新たな対応の検討に入った。

 沖電は「沖縄エリアの(電力の)さらなる競争環境整備に貢献するとともに、引き続き安定供給に努めたい」と述べている。