トルコギキョウ生産加速 沖縄県、ブランド化へ新事業 品質向上や新種選定


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トルコギキョウの生産振興に意気込む県職員ら=6日、県庁

 沖縄県内で生産量の増加が続いている花卉(かき)・トルコギキョウ生産の加速化を目的に、県農林水産部は栽培技術の向上や、市場性が高く沖縄での栽培に適した新品種の選定などを行う新事業を始める。現在4、5月に集中している県産品の出荷を12月に前倒しし、冬春期を通じて安定出荷できる産地としてブランド力の向上を目指す。

 2017年度から3年計画で行う。事業費は790万円。出荷団体などに依頼して何百もある品種の中から沖縄での栽培に適した種類の選定や、高品質な栽培技術の確立に向けた試験を行う。県農業研究センターでは出荷時期の拡大に向けた技術開発をする。

 トルコギキョウの生産量は2014年で47万本に上る。県外では栽培に加温が必要な時期でも沖縄では無加温で栽培できる特徴があり、県外産の出荷が少なく単価が高い時期に出荷する戦略が奏功して生産意欲が高まり、09年比6倍となり生産拡大が続いている。

 一方、県内で栽培が本格化してから間もなく、経験の浅い生産者が多いなど技術向上が課題だ。台湾産など海外からの輸入も減る中、市場からは県外産が減る12月以降の冬春期を通じた出荷の期待も高まっており、事業実施を決めた。

 新事業は「トルコギキョウ今こそ生産加速事業」と名付けられた。温暖な沖縄での栽培可能性が注目され、県内では1990年代からトルコギキョウの生産が試みられてきたが、栽培の難しさから広まっていなかった経緯がある。JAおきなわなど組織を挙げた取り組みが活発化し、生産量が急増する中「今こそ生産拡大を加速する契機だ」との思いが込められた。

 県園芸振興課の前門尚美課長は「事業により県外市場における沖縄産トルコギキョウの地位が向上し、農家の経営安定に寄与できると思う」と期待した。