“沖縄かじゃー”の笑い追求 山城智二氏 地元に根差す活動語る


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 琉球大学法科大学院は授業科目「沖縄企業法務」(矢野恵美教授)で2日、FECオフィス取締役社長の山城智二さんを招き、企業を立ち上げるまでの経緯や取り組みについて理解を深める講義を開いた。兄から継いだ事務所の運営や「メイドインうちなぁ」の笑いにこだわる姿勢を笑いを織り混ぜながら講義した。

琉大法科大学院で講義するFECオフィスの山城智二取締役社長=2日、同法科大学院

 「沖縄企業法務」は企業の運営方法や事業活動に伴う法律問題を学ぶ。FECオフィスは山城さんの兄の達樹さんが大学卒業と同時に設立した。3年後に達樹さんが急逝し、達樹さんの仕事を担うことになった智二さんは、「正直、やめようかなと思うこともあった」と話した。達樹さんが残した手帳に書かれた言葉を見て「兄も苦しかったと分かった。コツコツ続けてみよう」と奮起した。

 「沖縄と本土のギャラの格差はすごく大きい」と語るが「生まれた場所、故郷の言葉で、人々を喜ばせることにやりがいを感じる」と仕事を続ける理由を語る。2011年によしもと沖縄花月が立ち上がった時は「競合するのではないかと懸念したが、自分たちの笑いをやっていこうと腹をくくった」と話した。

 「地元に根差した笑いを届けたい」という思いで、所属芸人もローカルなネタに徹する。「いかに沖縄かじゃー(香り)が出ているかを大事にしている」と話し、沖縄でしかできない笑いの追求について語った。

 漫才やコントだけではなく、新しい形で笑いを表現しようと今年の2月には、新しく立ち上げた音楽レーベル「クワッチーノイズ」からFEC所属若手芸人で構成されたユニット「ハイアップロー」がデビュー曲をリリースした。智二さんは「お笑い事務所のレーベルだからこそできる、オリジナリティーのある音楽も届けたい」と意気込んだ。

 講義に参加していた新垣結麻(ゆうま)さん(24)は「本土とは異なる独自の個性の下で立ち上がった企業スタンスが、とても興味深かった」と感想を述べた。