【名護】名護市教育委員会文化課市史編さん係は8日までに、沖縄を代表する民話の語り手、故・山本川恒さん(名護市指定無形文化財・口承文芸)=市宇茂佐出身=が残した民話を基に紙芝居「蛙の嫁さがし」を制作した。
編さん係は、山本さんが語ってきた民話を基に2000年度から制作している。民話の語り手が減少する中、児童が楽しむことで地域の民話を身近に感じてもらい、継承につなげていきたいとの思いから制作を始めた。およそ年に1回のペースで、今回で16作品目になる。
「蛙の嫁さがし」は、子どものいない老夫婦が子どもを授かりたいと神様にうーとーとーした(祈った)ところ、おばぁの膝からカエルが生まれる。成長したカエルが知恵を絞り、美しい妻をもらう物語。
市教委の臨時職員、大城弥久(みく)さん(27)=名護市=が今回、初めて作画を担当した。主人公のカエルは、県の天然記念物に指定されているイシカワガエルがモデル。おじぃやおばぁ、美しいお嫁さんなど登場人物も表情豊かに描かれている。大城さんは「子どものころに毎日、漫画を書いていたことを思い出して楽しかった。膝からカエルが生まれる衝撃の場面を描くのに苦労した」と笑い、「沖縄らしさを意識した。子どもたちに伝わればうれしい」と語った。
紙芝居「蛙の嫁さがし」は名護博物館で貸し出している。名護中央図書館でも複製を借りることができる。(佐野真慈)