ブランドヤギで活性化 仲村さん、南城に飼育施設


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南城市発、ヤギを使った第6次産業の確立を目指す「糸数カプラファーム」の仲村嘉則さん(右)=南城市玉城

 【南城】南城市玉城の畜産農家仲村嘉則さん(56)が4月、南城ブランドヤギの第6次産業化を目指してヤギの多頭飼育施設「糸数カプラファーム」を設立した。120頭以上を飼育し3種類のヤギを交配させている。「沖縄独特のヤギ文化を高め、南城市から発信したい」と話す仲村さんは、ヤギ乳を使った商品開発に取り組み、ヤギ料理を振る舞うレストランと直売店を年内にも開店させる準備を進めている。

 「僕はヤギを食べて育った」と話す仲村さん。幼い頃は家で飼っていたヤギの乳を飲むのが当たり前で、牛乳を初めて飲んだのは小学5年のときだった。突然給食に出た牛乳に衝撃を受けたという。

 「ヤギの乳や肉は主流ではない。それでも沖縄の食文化として強く根付いているが、供給が追い付かずに外国産のヤギ肉に頼っている飲食店が多い」(仲村さん)

 仲村さんが「糸数カプラファーム」の構想を思い付いたのは2015年。第6次産業に関する講習会を受講したことがきっかけだ。事業計画を作成し、16年8月に農業生産法人「大地」を5人で立ち上げた。同年10月には10年以上放置されていたラン栽培のハウスを4棟(1棟170坪)購入して改築。中城村の個人農家から90頭のヤギを譲り受けて飼育を始めた。

 現在飼育しているヤギはボア種、ザーネン種、ヌビアン種の3種類。肉付きを良くするために多種交配している。

 湿気を嫌うヤギのために床は高床式にし、独自開発のベルトコンベヤーを使ってふんを集めている。ヤギのふんは豚や牛と比べてアンモニア成分が少ないため、作物に影響が出にくいことから堆肥として販売することも視野に入れている。

 仲村さんは「地域の雇用創出にもつながる」と意気込み、ヤギによる地域活性化を目指している。