【NIE入門編】「教師が楽しみ、続けて」 実践指定校・高原小で講座


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県立総合教育センター 金城治指導主事

 県立総合教育センターで新聞を教材とするNIE(教育に新聞を)を担当する金城治指導主事が17日、沖縄市立高原小学校(武冨誠校長)の校内研修でNIEの入門講座を実施した。同校は日本新聞協会認定のNIE実践指定校2年目だが、研究主事など半数の教員が4月の人事異動で交代した。金城主事は新聞の基本的な構造や読み方の解説、簡単に始められるNIEの実践例を多く紹介し、新聞作りワークショップを行った。武冨校長は「昨年から少しずつNIEに取り組んでいるが、一から勉強したい」と述べ、35人の教員が参加した。

 NIEに取り組む際の大事な視点として金城主事は(1)だれでも(2)いつでも(3)どこでも(4)続けること(5)無理をしない(6)教師が楽しむこと-の6点を挙げた。

 講座はNIEが1930年代の米で始まり、日本では1985年から提唱されたことなど、概要を説明。NIEについて「学習指導要領の順序性等に縛られない言語力や社会力、多様な力を育成する」と述べ、学習指導要領における教科目的の手段「新聞活用」と異なることも説明した。

写真中心の切り抜き新聞作りをする高原小の教師たち=17日、沖縄市

 新学習指導要領についても触れながら「NIEは言語活動そのもの、言語能力を養い、思考力、判断力、表現力を育成して確かな学力につながる」と有用性を強調した。

 ワークショップでは写真中心の新聞作りに取り組んだ。参加者は紙面から気になった写真を切り抜き、テーマについて話し合いながら新聞を仕上げた。1年生担当教諭の班は大宜味村のオクラレルカやキングスの写真を中心に「週末の癒やし!」と題した紙面を作った。稲福智子教諭は「写真を使うことで子どもも楽しめる。NIEをしなくてはならないと締め付けられるようでは嫌になるが、私自身も楽しめる」と話した。1年担任の友利文香教諭は「低学年でもできそう」と意欲を見せた。

 5年担任の石川正人教諭は「去年からNIEに取り組んでいるが、はがき新聞やスクラップブックなど、楽しめる工夫をしていきたい」と語った。

1年生担当教員が作った「週末の癒やし」がテーマの切り抜き新聞
風に関連する写真を集めた6年担当の先生たちの作品

新聞の基本的構造と読み方

1.新聞の情報量は本(単行本)1冊分 新聞40ページで約20~30万字、新書だと1~2冊分。5~10分程度の見出し読みの活用で、毎日全ての記事は読まなくてもよい。
2.見出しを読めばポイントが分かる 見出しは10文字前後、大小が重要度を表す。
3.見出しとリードで内容をつかむ リードには文章の基本、5W1Hが詰まっている。
4.記事の特徴・結論から先に書いてある 逆三角形。まず結論、続けて具体的な内容を記す。
 

気軽にできる実践例

カタカナを探そう。
習った漢字を探そう。
自分の名前の漢字を探そう。
人の名前を探そう。
熟語を探そう。
数字を探そう。
好きな言葉を探そう。

※与える情報量には注意が必要。低学年は、まず「見て楽しむ」ことから始めるのがポイント。

写真切り抜き新聞

1.新聞から写真を切り取る。
2.テーマ、写真の位置を決めて画用紙に貼り付ける。
3.見出しを記入する。写真説明や飾り付けなど工夫して新聞を仕上げる。

※生徒の実態に合わせてあらかじめテーマ設定をしてもいい。
 

実践者の一言

 新聞紙を使ったファッションショーなど、まずは新聞に慣れ親しむことから始めるのがいい。新聞といえども主観的な主張があるので、情報の取捨選択をして見極めるようにしてほしい。NIEは教師が楽しむことが大事だ。