貨物取扱が16年度は1.5倍 沖縄県産品輸出 アジア需要拡大


この記事を書いた人 大森 茂夫

 沖縄県が全日本空輸(ANA)の貨物コンテナを借り上げて県産品の輸出事業者に提供する「航空コンテナスペース確保事業(沖縄国際物流ハブ活用推進事業)」の2016年度実績が、件数、重量とも前年度の1・5倍に拡大したことが12日までに分かった。ANAカーゴ沖縄統括支店のまとめによると、通関件数は前年度比52・0%増の1281件、重量は同56・1%増の約57万8400キロとなった。成長が著しいアジア地域の需要拡大を背景に、同事業を利用する事業者が多くなったことから輸出量も増加した。

 品目別の重量実績は「畜産物」が前年比3・5倍の10万5688キロと大きく伸び、新規の事業利用者の増加で押し上げた。「青果」は同2・1倍の12万3533キロだった。精密機器を含む「その他」は、うるま市の国際物流拠点産業集積地域に進出した機械メーカーがアジア向け出荷を拡大したこともあり、同53・3%増の4万5311キロだった。

 地域別で見ると、香港の739件が最も多く、次いでシンガポールの432件、台北が50件だった。精密機器はスマートフォンの需要が伸びる中国のほか、韓国などに出荷されているという。

 那覇空港を積み替え拠点として活用するANAの国際航空貨物事業が09年に始まった。県は県産品の輸出拡大を目的にコンテナを借り上げ、燃油サーチャージや通関手数料などを除く輸送費を補助している。

 琉球大学観光産業科学部の知念肇教授(マーケティング・商学)は「香港などで質の良い日本食への需要が高まっており、畜産物や青果の輸出量が伸びている」と分析する。精密機器については「県内で人材が育ったことで製品の出荷が迅速に行えるようになっている。アジアで精密機器の需要は高まるため、今後も(輸出量は)増加するはずだ」と見通した。