“長寿台風” 高気圧遠く迷走 5号、移動促す風弱く


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦

 非常に強い台風5号は、7月21日の発生から2日で12日超の“長寿台風”となっている。発生初期は小笠原諸島近海をぐるぐる“迷走”。進路を南西に変えた後、2日午後9時現在、日本の南を北西に進んでいる。迷走の原因は高気圧との距離などにあり、長寿の“秘訣(ひけつ)”は迷走にあった。

台風5号は7月21日午前9時、小笠原諸島の南鳥島近海で発生。同日午後3時には、ミッドウェー諸島近海で台風6号も発生した。沖縄気象台によると、台風は通常、太平洋高気圧のへりに沿って北上する。さらに複数の台風が近くにあると、互いの風が干渉し合って流れが変わることがある。

 5号の発生地点は太平洋高気圧から遠く離れていて、移動を促す風が弱かった。24日に6号が近づくと、5号はその南側を回り込み、大きく楕円(だえん)を描くような軌跡となった。25日に6号が消滅した後は南西へ。31日ごろ、ようやく高気圧に乗り、進路が固まってきたという。

 気象庁は発生から消滅までの期間を「台風の寿命」とし、6時間を0・25日として数える。1951年に統計を取り始め、長寿記録は1986年8月18日発生の台風14号で19・25日。19・00日、18・25日、15・75日と続く。

 沖縄気象台によると、長寿の秘訣は迷走という。5号は8月6日午前9時に発生から16日を迎え、歴代4位となる見込み。

 さらに、9日午後9時まで生き延びれば最長記録を更新する。気象庁は、7日午後9時の“生存”まで発表している。さて、その先は―?
(真崎裕史)