「愛国」重視の道徳教科書、使用へ 沖縄県那覇地区 5市町村の教委承認


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浦添市教育委員会の嵩元盛兼教育長(左)に要請書を手渡す沖教組那覇支部の木本邦広委員長=15日、浦添市役所

 2018年度小学校道徳教科書の採択で、沖縄県の那覇市、浦添市、久米島町、北大東村、南大東村の5市町村でつくる那覇地区が他社版に比べて愛国主義的傾向の強い教育出版(東京)の教科書を採択した件で、地区内の全5市町村教育委員会が10日までに同教科書の使用を承認していたことが分かった。

 那覇地区の教科書採択地区協議会の事務局を務める浦添市教育委員会が15日、県教職員組合(沖教組)那覇支部の採択撤回などを求める要請の場で明らかにした。

 那覇地区では、7月中旬に地区の教員やPTA関係者らでつくる教科書採択地区協議会で教育出版社の教科書を採択する方針を固め、5市町村の教育委員会(教委)に諮っていた。5市町村の教委が承認したことで、正式決定となった。

 沖教組那覇支部は要請で教育出版の教科書採択の撤回と再審議を求めたが、浦添市教委は再審議しない考えを示した。

 また、浦添市教委は地区協議会の議事録を公開する意向も、沖教組那覇支部に示した。市民からの情報公開請求に応じる形で公表し「9月中旬ごろまでに公開し、以後市民からの開示請求に応じる」としている。公開時期を9月中旬とした理由を浦添市教委は「公開内容を調整するため」とした。

 沖教組那覇支部側は「審議委員とも協議したい」として協議会委員の氏名公表を求めたが、浦添市教委側は「委員の任命時に氏名は公表しないと約束している」として、公表しない意向を示した。