米軍機の低周波音、沖縄県が実態調査へ 普天間周辺の民家にセンサー


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 垂直離着陸輸送機MV22オスプレイなど米軍機の飛行に伴い発生する低周波音について、沖縄県は9月にも宜野湾市の普天間飛行場周辺で窓ガラスの振動など物的影響を把握するための実態調査に着手する。全国の地方自治体で個別に低周波音調査に取り組む例は初めて。

 米軍機の飛行により窓ガラスやテーブルが揺れ、体に振動を感じるといった物的影響に伴う苦情が宜野湾市に相次いで寄せられたことを受け、実施に踏み切った。低周波音を巡っては環境基準値が定められておらず、県は今回の調査結果をデータ化し、国に基準の策定を求める際の基礎資料として提出する。

 県は昨年、オスプレイが配備されている普天間飛行場周辺にある家屋複数を選定し、基礎調査を実施。スピーカーで低周波の試験音を流し、がたつきやすい周波数や航空機の機種、家屋構造などを調べた。本年度は引き続き行う基礎調査に加え、実態調査を行う。オスプレイの飛行ルート下にある民家を実際に120日間借り上げ、窓ガラスなどにセンサーを設置。昼夜連続で音圧や振動を測定し、低周波音の影響を数値的に明らかにする。

 県環境部は「低周波音の感じ方は個人差があり、心身に係る部分は実態がつかみづらい。まずは窓ガラスの振動など目に見える物的被害を数値としてたたき出す必要がある」とし、データの蓄積を問題解決の一助にしたい考えだ。