ゴーヤー“無傷”出荷へ 表面の突起、丸い新品種


社会
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ハウス・アバシー          夏の訪れ

 種を開発・販売するフタバ種苗卸部(南城市、谷口潤一郎社長)と、野菜用苗を生産するグリーンショップユー(糸満市、与那覇正人代表)はこのほど、ハウス栽培に適したゴーヤーの新品種3種を開発した。民間企業が独自でゴーヤーの品種を開発したのは初めて。従来の品種に比べて表面の突起が丸いのが特徴で、箱詰めして発送する際も突起がぶつかって実を傷つけることが減り、関係者は「沖縄独自のゴーヤーとして県外出荷の拡大が期待できる」と話している。

 開発したのは夏秋期の栽培に適した「夏の訪れ」、1年を通して栽培できる「ハウス・アバシー」、冬春期の栽培に適した「沖誉れ」の3種類。元県農業研究センター所長の坂本守章氏の技術支援を受けた。

 東京都中央卸売市場のまとめによると、2011年に664トンだった県産ゴーヤーの取扱量は16年に1268トンに倍増。県外でも需要が高まっている。ただ県外への出荷では、輸送中にゴーヤー表面の突起がぶつかって傷むなどの課題があった。新品種は突起を丸くすることで傷むものを減らす目的で開発した。

 従来品種は夏場にハウス内で育てると高温の影響で収量が落ち、表面が一部黄色くなって過熟になりやすいなどの課題もあった。

 「夏の訪れ」「ハウス・アバシー」は夏場のハウス栽培でも多収穫できる。両品種を試験栽培した仲間勲さんは「40日間の10アール当たり収量は夏の訪れが1・5トンと従来品種の約2倍、ハウス・アバシーは3倍以上だ。販売先からのクレームもない。栽培するのが難しかった時期にも安心して出荷できる」と語った。

 谷口社長と与那覇代表は「暑い時期に良質なゴーヤーを出荷できれば、農家の所得向上にもつながるのではないか」と新品種の広まりに期待した。

 苗は種から育てた自根が135円(税別)、カボチャの根に接ぎ木したものが205円(同)。「夏の訪れ」は18年春の発売で、他2品種は発売中。JAおきなわの各購買店舗で受注・販売するほか一般消費者にはフタバ種苗卸部でも販売する。

夏の訪れなど3品種を手にする(左から)生産農家の山城辰彦さん、グリーンショップユーの与那覇正人代表、フタバ種苗卸部の谷口潤一郎社長=18日、糸満市真栄平