遺骨返還、京大へ質問状 文書開示請求も 琉球民族研究会


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 旧帝国大学の研究者が県内から持ち出した琉球人の遺骨が返還されていない問題で、琉球民族遺骨返還研究会の松島泰勝代表(龍谷大教授)らは23日、今帰仁村の百按司(むむじゃな)墓から1928~29年に持ち出された遺骨を保管しているとみられる京都大学(京都市)に公開質問・要望書を提出した。9月末までに質問に回答するよう求めている。遺骨に関する文書(人骨番号表)の開示請求も行った。京都大側は面談で、遺骨の保管状況などを明らかにしなかった。

 公開質問・要望書は遺骨の持ち出しについて「先住民族の権利に関する国連宣言に反しており、国際法に違反している」「伝統的な信仰や生活を無視した死者への冒涜(ぼうとく)だ」と批判。遺骨の保管状況について5月に松島教授が問い合わせた際、京都大側が回答を拒否したことには「植民地主義的な対応だ」と指摘した。

 さらに琉球民族独立総合研究学会が4月に国連人権高等弁務官事務所に遺骨の返還を求める請願を行ったことを例示。台湾大学が遺骨を沖縄側に返還する意向を示していることも挙げ、京都大に琉球民族への遺骨の返還と謝罪を求めた。

 要望は(1)遺骨の保管状況(2)保管することになった経緯(3)遺骨を用いた研究の結果(4)台湾先住民族の遺骨の有無-など6項目を明らかにすること。同研究会と大学側の対話の場を設定することも要求した。

 松島教授は「大学の事務職員が要望書を受け取ったが、面談では遺骨に関する情報や大学側の見解は示されなかった。今後も県選出国会議員や台湾の研究者と連携し、返還を求めていきたい」と話した。

英文へ→Research Association published an open letter to Kyoto University