犬の骨2体出土 人が埋葬か ほぼ全身の骨格残る 名護市安和


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名護市安和の安和与那川原遺跡でほぼ全身の骨格を残して出土した犬の骨(名護市教育委員会提供)

 【名護】名護市安和の与那川の改修工事に伴う名護市教育委員会による文化財調査で、約2500年前の縄文晩期の地層から、ほぼ全身の骨格を残した犬の骨2体が見つかった。調査を担当する名護市教委学芸員の吉元貴子さんによると、県内で犬の全身の骨がまとまって出るのは珍しい。「自然に死んだ場合、他の動物が食べて骨がばらばらになることが多く、人が埋葬した可能性も否定できない」と話し、県内縄文期の人々と犬との関係性解明に期待を寄せた。

 県教育委員会によると、これまでに、県内外で縄文時代の地層から埋葬された犬の骨が複数見つかっており、当時から人々が家族の一員として犬と共に生活していたとみられている。県教委の担当者は「全身がほぼ残っており、調査で得られる情報は多い。当時の暮らしぶりを解明する上で貴重な発見だ」と話した。

出土した犬の骨。顎の一部、歯が残っている

 名護市教委によると犬の骨が出土した地域は安和与那川原遺跡。1体目が7月21日、2体目は同31日に発掘出土した。深さ120~130センチの地層に、2メートル間隔で横たわった状態で並んでいた。骨の大きさなどから中型犬とみられる。

 名護市教委嘱託職員の真栄田義人さんは「仮に埋葬していた場合、出土した地層の年代より後世の人が穴を掘って埋めたとも考えられる。年代についてはさらに調査を進める必要がある」と話した。市教委では今後、専門家と共に検討・調査を進める方針。

安和与那川原遺跡で発掘を進める調査員=31日午前10時、名護市安和

 市教委は2014年度から安和与那川原遺跡での発掘調査を実施している。これまでに石を集めて作った炉の跡(集石遺構)や土器、石器なども出土している。学芸員の吉元さんは「住居跡はまだ見つかっていないが、これまでの出土品の状況から住居跡が出てくる可能性は高い。調査を進めたい」と話した。【琉球新報電子版】