3200人「自分らしさ」表現 LGBT理解、広がりに期待 ピンクドット沖縄


この記事を書いた人 大森 茂夫
ピンクのカーペットを歩き、性の多様性イベントを盛り上げる参加者=23日、那覇市牧志

 性的少数者(LGBT)が生きやすい社会を目指すイベント「ピンクドット沖縄2017」(同実行委員会主催)が23日、那覇市牧志のてんぶす那覇前で開かれ、過去最多の約3200人が来場した。協賛・後援企業も72社で過去最多だった。フィナーレでは参加者がピンクカーペットの上を歩き、性の多様性を尊重する社会の広がりに期待した。

 ステージでは、LGBT当事者とパートナーによるトークショーや、LGBT当事者によるパフォーマンスも披露された。終盤には県出身のボーカルダンスグループMAXが登場。歌とダンスで盛り上がった。

 ステージ周辺には20団体がブースを設置。協賛企業が性の多様性を意味するピンクとレインボー(虹色)にちなんだ色のケーキやアイスを販売し、多くの人でにぎわった。自治体では那覇市のほか浦添市も新たにコーナーを設置し、取り組みを紹介した。

 ピンク色のかつらを着けて会場を訪れた仲宗根千晶さん(39)=那覇市=は、ピンクドットには初参加。「当事者だけでなく、いろんな人たちがまぜこぜなところが楽しい」と笑顔を見せた。「若い参加者が多いが、もっと幅広い年代が参加して、理解が広がっていけばいい」と力説した。

 ピンクドット沖縄は2013年に初開催され、今回で5回目。実行委員会が主催し、那覇市とホテルパームロイヤルNAHA、カフーリゾートフチャクコンド・ホテルが共催した。

■トークショー

ピンクドット沖縄のトークイベントに登壇した(左から)澤岻良心さん、さおりさん、茂田まみこさん、長村さと子さん、安座間尚彦さん、入眞地順治さん=23日、那覇市牧志のてんぶす那覇前広場

 ピンクドット沖縄のトークショーでは、LGBT当事者ら3組のカップルが登壇し、家族をテーマに話した。登壇者は「LGBTとひとくくりにされるが、それぞれ事情は違う」と指摘。「いろんな家族の形があっていいという空気感を沖縄全体に広げたい」と話した。

 登壇したのは、入眞地(いりまじ)順治さん(40)と安座間尚彦さん(31)=那覇市=の男性カップルと、茂田(もだ)まみこさん(37)と長村さと子さん(34)=東京都=の女性カップル、女性から男性に性転換した澤岻良心(りょうと)さん(36)とさおりさん(34)カップル。

 入眞地さんと安座間さんは、2016年に那覇市のパートナーシップ登録第1号となった。入眞地さんは「2人で生きていくきっかけになった」と振り返る。「結婚報告への周りの反応が自然になっている。パートナーシップの理解が進んでいる」とした一方で、もし相手に手術が必要となった場合、同意のサインはできないなどの課題を指摘した。

 茂田さんと長村さんは、子どもがほしいLGBTカップルが交流する場やSNSを立ち上げている。LGBTの人が子どもを検討する場合、サポートがない現状を説明した。長村さんは「同じ悩みをかかえている人が、どこの地域にいても繋がれるような環境が必要だ。支えてくれる人は家族だ」と話した。

 澤岻さんは06年に戸籍を男性に変更、09年に結婚した。第三者の精子提供で14年に心愛(とあ)ちゃんが誕生した。さおりさんは「好きな人の子どもだから産みたかった」と打ち明けた。澤岻さんは「向き合い続ける覚悟を持てたから進めた。話し合いをたくさんすることが大事」と話した。