エリ蚕でインフル予防 根路銘氏、ワクチン生成に成功


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 生物資源研究所(名護市)の根路銘国昭所長は4日、沖縄県那覇市内で開かれたシンポジウム「21世紀のシルクロードは沖縄から」で、沖縄産カイコ「エリ蚕」を使い、インフルエンザH5、H7型の両方を予防する2種混合ワクチンの生成に成功したと発表した。

 カイコでのワクチン生成技術は進んでいるが、沖縄産のエリ蚕によってワクチンを生成したのは根路銘氏らの研究が初めて。エリ蚕の遺伝子を編集することによって、H5、H7型のウイルスを予防するワクチンの生成技術を確立した。

 発表によると、エリ蚕は温暖な沖縄では1年中繁殖できるほか、一般的なカイコ(家蚕)よりも大きいためワクチンに必要な成分を多く採取できる。1人分のワクチンをつくる原価は約7・6円と安価で、将来的には産業化も期待される。根路銘氏は研究の成果を近く論文として発表することを明らかにした。

 また、根路銘氏は県内に広く自生するセンダンの葉の成分を抽出したり、粉状にしたりすることによって、インフルエンザ菌の抗ウイルス作用があることなどを発表した。