社会

北半球にもコセミクジラ 国際研究チーム うるまの化石確認

沖縄産のコセミクジラ耳骨の化石

現生コセミクジラの耳骨

 1940年代後半にうるま市で採集された化石が、南半球にのみ生息するコセミクジラの化石だったことがこのほど明らかになった。北半球にコセミクジラは分布しておらず、化石が確認されたのも初めて。動物の地球規模の移動を解明する手掛かりとして注目される。国立科学博物館などの国際共同研究チームが米国生物学雑誌カレントバイオロジーのウェブ版にこのほど、発表した。

 この化石は、うるま市のキャンプコートニーで基地建設に伴う地質調査中に採集され、米国スミソニアン研究所に収蔵されていた。別の種類のヒゲクジラの化石とされていたが、研究チームの1人がコセミクジラの特徴に気付いて耳骨(じこつ)の分析を進めた。研究チームはイタリアのシチリア島で90年代に発見された化石もコセミクジラだったことを明らかにした。沖縄とシチリア島から化石が発見されたことで、コセミクジラが北半球に広く分布していたことが推測される。

 研究チームのメンバーで国立科学博物館の甲能直樹さんは「氷河性の環境変動で南北半球の生物が大規模に移動していたと見えてきた。南半球にしかいないペンギンも、かつて赤道を越えて北半球に来ていたことが分かる日が来るかもしれない」とロマンを語った。

 コセミクジラの化石は、氷河期に当たる90万~50万年前(更新世中期)の層から発見された。北半球ではこれより古い鮮新世(約530万~260万年前)に、コセミクジラの祖先を含む小型ヒゲクジラ類が絶滅している。

 現在、赤道付近は海水温が高く、栄養が乏しいため、海生ほ乳類は赤道を越えて行き来せず、分布は南北で分かれる。

 南半球で進化したコセミクジラが、更新世前期から中期にかけての氷河期に北半球に侵入していたことを示す今回の発見は、気温が低かった時代に動物たちが赤道を越えて移動していたことを示している。





関連するニュース







  • お知らせ


  • 琉球新報デジタルサービス



  • 会員制サービス






  • 他のサービス