比嘉が初防衛 15連続KO記録に王手 ボクシングWBCフライ級


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4R 挑戦者トマ・マソンをコーナーに追い詰め左ボディーで攻める比嘉大吾(左)=22日、東京・両国国技館(花城太撮影)

 世界ボクシング評議会(WBC)フライ級王者・比嘉大吾(22)=白井・具志堅スポーツジム、宮古工業高出、浦添市出身=の初防衛戦は22日、東京都の両国国技館で行い、比嘉が同級5位のトマ・マソン(27)=フランス=に7回1分10秒でTKO勝利し、初防衛を飾った。比嘉はデビュー戦から全14試合KO勝利を継続しており、県出身の浜田剛史氏らが持つ15連続KOの日本記録に王手をかけた。

◆変幻自在“左”で制す/「いざ井岡」統一戦に意欲

 鬼門とされる初防衛戦も、デビュー以来連続KOを続ける比嘉大吾の快進撃の前には杞憂(きゆう)に終わった。

 アッパーやボディー、フックなど角度をつける変幻自在の左で挑戦者トマ・マソンのガードを少しずつ崩し、最後は左ストレートによる相手の右まぶたの裂傷で7回で試合を決めた。控室に戻ると開口一番、「いやあ、幸せですね」とつらい練習を乗り越えたからこその柔らかい表情に。連続KO記録を14に伸ばしただけでなく、リング上で井岡一翔(WBA世界フライ級王者)との「統一戦」も願い出るきっぷの良さも見せた。

 序盤は、いつもより疲れやすく拳に力が無かったというが、それでも並の強さではなかった。ガードが堅いマソンに「(4階級を制覇した)ロマゴン(ローマン・ゴンサレス)がよぎった」と、左右のボディーとアッパーの連打をくり返し相手の装甲を少しずつ破壊し、両腕が開けば左のジャブとフックを顔面へ。しかし、マソンは効いていないと言わんばかりのアピールを見せた

 「タフだな。まずはジャブから」と、試合前のスパーリングでジムの先輩・江藤光喜から助言を受けたアウトボクシングに変更。「左ジャブには自信があり、相手より速い」と、冷静に相手の顔面の右を狙い、勝利のパンチを決めるなど、戦術の広さも見せつけた。

 試合直後、いきなり語った統一戦に井岡の名前を挙げたのは中学時代、井岡の試合の合間に流れた具志堅会長の映像がボクシングを志すきっかけとなったから。「自分の試合を見ている今の子どもが将来、自分とやりたいと言ってくれたらうれしい」と、熱い思いを打ち明けた。その「統一戦」への意欲を尋ねる報道陣に対して、「KOを伸ばしていきたい」と王者らしい言葉で締めた。(嘉陽拓也)