「遺骨盗掘は差別」 松島龍谷大教授が批判 琉球独立学会公開シンポ


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琉球人遺骨の返還を求める活動について語る松島泰勝教授(中央)=22日、沖縄国際大学

 琉球民族独立総合研究学会(独立学会、ACSILs)の第9回総会と公開シンポジウムが22日、宜野湾市の沖縄国際大学で開かれた。友知政樹沖国大教授らが、独立の是非を問う住民投票で独立支持が多数を占めたスペインのカタルーニャ自治州を視察したことを報告した。松島泰勝龍谷大教授は、京都大学などに保管されている琉球人の遺骨について「遺骨の盗掘と保管は、琉球人差別そのものだ」と批判した。

 友知教授は、現地で独立運動を引っ張ってきた市民団体「カタルーニャ国民会議」の職員から話を聞いたことを報告。その上で住民投票に関連し、スペイン中央政府が派遣した治安警察が住民に暴力を振るって投票を妨害したことを挙げて「中央政府は欧州連合(EU)域内で暴力行為を働いたにもかかわらず、EUは対応に及び腰だ」と指摘、介入・仲介を求めた。

 松島教授は琉球人遺骨問題について「盗掘は犯罪であるだけでなく、保管を含めて国際法違反だ」と指摘し、京都大学が質問への回答や遺骨の実見を拒否したことに「日本の植民地主義が現在も続いていることの証拠だ」と批判。遺骨の収奪について「琉球人の信仰や慣習への敬意が欠如しており、琉球人を人間と見ていない。基地問題と共通している」と指摘した。「遺骨返還運動は琉球人の自己決定権行使、脱植民地化のための運動だ」と述べた。

 友知教授らは、国連で11月に予定される日本政府対象の普遍的定期審査(UPR)に向け、3月に同学会が国連に提出した報告書の内容も説明した。報告書は琉球併合(琉球処分)や沖縄戦、琉球人遺骨問題などを挙げ、日本政府に「外務省が保管している琉米、琉仏、琉蘭の3修好条約原本の返還」「琉球人遺骨の返還」などを勧告している。