泡瀬干潟訴訟 公共事業在り方に一石 原告団、意義を強調


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公共事業の在り方に一石を投じた意義を強調する前川盛治原告団長(右から2人目)ら=27日、県庁

 沖縄市の東部海浜開発事業に伴う公金の支出差し止めを求めた住民らの訴えを退けた18日の最高裁第2小法廷の決定を受け、第2次泡瀬干潟埋め立て訴訟の原告団と弁護団は27日、県庁で会見し「裁判所は行政をチェックする役割を果たそうとしなかった」などと批判する声明を発表した。ただ埋め立て規模は1次訴訟の勝訴で、当初計画から約半分に縮小した。前川盛治原告団長は「一度は中止させ変更を迫ることができた。環境問題の大切さを訴えることができた」と、住民訴訟で公共事業の在り方に一石を投じた意義を強調した。

 訴訟は沖縄市泡瀬の沖合(中城港湾泡瀬地区)を埋め立て土地利用を図る東部海浜開発事業を巡り、周辺住民らが2005年5月に、県と市に公金支出の差し止めを求め提起し始まった。

 1次訴訟で裁判所は開発事業の経済的合理性を否定し公金支出を禁じた。判決を受け事業はいったん中断したが、市が埋め立て面積を半分に縮小した新たな土地利用計画を策定し再開していた。

 訴訟提起から12年余。2次訴訟では敗訴したが、前川原告団長は「泡瀬干潟はラムサール条約登録に向け取り組みが進んでいる。闘いは終わったが、裁判を通して環境問題の提起という大きな成果はあった」と話した。

 喜多自然代理人弁護士も「市民が異議申し立てしないと行政はフリーハンドで好き放題になる。訴訟が抑止効果につながることに期待できる」と評価した。