初対面で「意思伝わる」17% 聴覚障がい者、健常者との疎通課題


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
アンケートについて報告があった、県手話施策推進協議会=10日、那覇市首里石嶺の県総合福祉センター

 沖縄県が聴覚障がい者を対象に実施したアンケートで、初めて会う健常者に自分の言いたいことを「全て伝えられる」「ほとんど伝えられる」と回答した割合は、計17・6%にとどまったことが分かった。10日に那覇市で行われた「県手話施策推進協議会」で報告があった。県が聴覚障がい者に生活状況を尋ねるアンケートを実施したのは初めて。聴覚障がい者が日常生活で、健常者との意思の疎通に課題を抱えている実態が浮き彫りになった。

 手話通訳者派遣など市町村の事業の利用状況から、各市町村が対象者を抽出した。昨年12月1日を基準とし、今年3月まで実施した。対象の503人のうち、119人から回答があった。

 29・4%が聴覚以外に障がいがあり、最も多いのは言語障がいだった。一番円滑に伝えられるコミュニケーションの手段に「手話」を選んだのは77・3%、筆談は7・7%だった。

 手話を知らない初対面の健常者の言いたいことを「全て理解できる」「ほとんど理解できる」は計11・8%だった。

 昨年4月施行の「県手話言語条例」で設置が定められた「県手話施策推進協議会」の委員は、聴覚障がい者や教育関係者らで構成される。委員の佐和田由紀子さんは「日本語を読めず、回答を諦めた人もいるのでは」と回答率が低い理由を推測した。協議会の真謝孝会長は「条例について啓発し、手話そのものを広げていく必要性があるとアンケートの結果が裏付けている」と述べた。