所信表明演説、沖縄への言及なし 安倍政権下で初、北朝鮮問題の陰で埋没


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦

 安倍晋三首相の17日の所信表明演説では、これまでの演説で触れていた沖縄の米軍基地問題や振興政策などに関する言及はなかった。安倍政権下でのこれまでの所信表明では最も少ない3500字の演説で簡素な内容だったとはいえ、「沖縄」の2文字が消えたのは安倍政権になって初めてのことだ。

 今回の演説の特徴について、政府関係者は今国会で提出法案が少なく、衆院選で与党が訴えたことを中心に、内閣の大きな課題の方針を示すものだと指摘。触れられていない重要政策については、年明けの通常国会での施政方針演説で説明するとした。

 衆院選で、自民党は北朝鮮情勢や少子高齢化への対応などを「国難」として争点に位置付けた。一方で、選挙期間中には東村高江の民間地で米軍ヘリ炎上事故が発生し、日本側の捜査が日米地位協定に阻まれるなど、日本の主権が及ばない実態もあらわになった。だがそうした中でも、沖縄が抱える問題は全国的な争点とはならなかった。

 これまでの演説では、沖縄に関する言及として、辺野古移設推進のほか、米軍北部訓練場の過半返還に伴う基地負担軽減、好調な観光需要などを強調する内容などがあった。

 県と政府が対立する基地問題を巡っては、現在も名護市辺野古で石材の海上搬入などの新基地建設作業が急ピッチで進む。北朝鮮危機などがクローズアップされる中で、沖縄問題が埋没することも懸念される。