国頭5林道の建設中止、県が決定 環境影響などに考慮


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 今月6日の沖縄県公共事業評価監視委員会で「中止が妥当」との意見が出された国頭村の県営5林道について、県は建設を中止することが23日までに分かった。県土木総務課は「県の考えを伝えた上で評価委に諮問しているため、一般的には県の考えが評価委の意見として反映されている」とし、「中止妥当」に沿って決定するとした。

 5林道は楚洲仲尾線、伊楚支線、伊江1号支線、伊江原支線、奥山線。工事開始は2006年だが、直後にノグチゲラの営巣が確認されるなど、絶滅の恐れがある希少な動植物が多数存在していることが判明し、環境対策への十分な配慮が必要だと指摘されていた。

 07年には林道工事を違法として県知事を相手に公金支出の差し止めなどを求めた住民訴訟(沖縄命の森やんばる訴訟)が提起され、県は事業を一時中断した。

 15年には同訴訟で原告の請求は却下されたが、同時に那覇地裁は「現状のままで林道開設事業を再開すれば社会的妥当性を著しく損ない裁量権の逸脱、乱用と評価されかねない」と事業の再開は違法だと指摘した。判決を受け、翁長雄志知事は整備計画の見直しも含め検討する考えを示していた。

 中止は正式には18年5月に県農林水産部長の専決で決まる。評価委が1998年に設立されて以来、中止妥当と判断した事業は10例あるが、その全てが中止されている。(砂川博範)