名護東海岸で新漁協の設立申請 「入会権」確立目指す、辺野古に影響も


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦

 沖縄県で新たに「名護市東海岸漁業協同組合」の設立を目指す住民らでつくる名護市東海岸活用推進委員会(久志常春委員長)は24日、県に同組合設立の認可を申請した。漁協設立により、東海岸における入会漁業権の確立を目指している。名護漁協が漁業権を放棄した埋め立て予定区域も含めて漁場として申請している。同海域に漁業権を持つ新漁協として県が認可した場合、米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設に影響する可能性もある。

 新漁協組合長でもある久志委員長は「政治的意図はない」としている。県は「書類は受け取った。内容を精査し、漁協の設立要件に合っているか審査する」とした。

 推進委は名護市東海岸13区(旧久志村)の地元住民がことし7月に発足させた。水産漁協同組合法にのっとり、県の指導の下で申請準備を進めてきた。同法では行政庁(県)は、申請を受領した日から2カ月以内に認可、不認可の通知を発しなければならない。

 久志地域では古くから「浜下り」など伝統行事を執り行ったり、貝やカニ、海草などを採って日々の暮らしの糧にしたりするなど、海と共に暮らしてきた。

 久志委員長は16日に開いた創立総会で「近年、漁業法を理由に規制が強化されて住民が海上保安庁に摘発されるような事態になっている」と指摘し、「地域住民には入会漁業権があり、海の恵みを享受できる。新漁協を設立し、入会権があることを明確にしたい」と話した。組合設立後は、養殖や漁をはじめとした漁業活動や体験学習実施を計画しており、海を利用した地域活性を目指す。

 東海岸漁協が漁場として申請した区域は、名護市の東海岸で、沖縄第5号共同漁業(権)として県から名護漁協に免許されている。その中には辺野古新基地建設の埋め立て区域も含まれる。

 名護漁協は、2014年に辺野古新基地建設工事に伴う漁業補償を受けることを決め、埋立海域内の漁業権放棄に同意した。