希少アオサンゴ確認 大浦湾、近隣分布と違う系統


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大浦湾の海底に生息するアオサンゴ(日本自然保護協会提供)

 名護市辺野古の大浦湾に生息するアオサンゴが、勝連半島などに分布する同種とは異なる遺伝系統を持つことが、宮崎大学の安田仁奈准教授らの分析で6日までに分かった。安田准教授は「詳細な分析が必要だが、別種である可能性もある」と話した。

 アオサンゴは西太平洋とインド洋に生息している。世界自然保護連盟(IUCN)が発表する絶滅の恐れがある動植物を記した「レッドデータリスト」にも登録され、世界的にも生息域の環境破壊が指摘される。分析は自然保護協会の依頼で、昨年11月に採取した同種のサンプルを用いて、今年10月に実施した。分析にはより多くの遺伝子を用いる最新の「MIG―seq」という方法を用いた。

 安田准教授は、30キロ程度しか離れていない勝連半島と大浦湾で遺伝子の異なる同種のサンゴが生息していることについて「大浦湾では、他の種類のサンゴでも大きな個体がみられる。大浦湾が周辺海域から孤立し、独自の環境でアオサンゴが生息してきたためではないか」と推測。「(勝連と大浦湾のサンゴに)遺伝的なつながりがないのであれば、一方がなくなると他方が補える関係にないことを示している」と大浦湾のサンゴを保護する必要性を指摘し、警鐘を鳴らした。

 分析を依頼した日本自然保護協会は、大浦湾で米軍普天間飛行場の移転に伴う新基地建設が進んでいることを踏まえて「サンゴは環境の変化を受けやすく、今まで以上の配慮が必要だ。基地建設は中止すべきだ」と強調した。