会見全文/部品落下事故「深刻な事故」/翁長雄志沖縄県知事/ぶら下がり会見/2017年12月7日


この記事を書いた人 Avatar photo 宮城 久緒
辺野古新基地建設に伴う中城湾港の使用許可について記者団に説明する翁長雄志知事=7日午後6時29分、県庁

●中城湾港新港地区の使用許可

【冒頭、翁長雄志沖縄県知事が知事コメントを読み上げ】

 「中城湾港新港地区に関しましては、民間業者から本年9月に使用許可申請がなされました。

 その間、奥港の強行使用に際して、沖縄防衛局と警察による過剰な警備がなされ、一部住民生活にも影響が出たとのことであり、県としてどのような対処が適当であるか、弁護士の助言も踏まえ、慎重に検討してまいりました。

 その結果、党外の申請の目的が、給油および船員の休憩などであって石材などを搬出する物ではないこと、地方自治法においても、「地方公共団体は法令に違反してその事務を処理してはならない」ことが定められており、本件については港湾関係法令に則って処理すべきであることなどを勘案し、許可せざるを得ないとの判断に至りました。

 ただし、許可後においては、許可した日から1週間とすることとしており、許可期間満了後、新たな使用目的などで申請があった場合には改めて検討を行ってまいります。

 私は当初から、公正・中立・厳正に物事を判断する中で、「辺野古に新基地をつくらせない」との思いであり、そのことにみじんも揺らぎはございません。

 国は、度重なる県の指導を一切無視し、なりふり構わず新基地建設を強行していますが、このことは逆に、かつて島ぐるみ闘争を闘い抜いてきた沖縄県民が、一丸となって新基地建設阻止へ動く事への恐れが現れているのではないでしょうか。

 今後も厳しい局面が続くことが予想されますが、辺野古新基地建設阻止に向けて、全力で取り組んでまいりますので、皆さまのご理解とご協力をよろしくお願いします。

                                                                           平成29年(2017年)12月7日                                                                                                                                                        沖縄県知事 翁長 雄志」

【記者との一問一答】

 ―今回、許可をすることで移設反対の方から反発の声が上がることも考えられるが。その上で今回の許可は適切か。

 「コメントでも申し上げたが、当初から、例えば最高裁判所の判決のあと、取り消しの取り消しをしたということも含めて、ある意味では、公正中立厳正、あるいは合法的にという意味合いの物は今日までずっとやってきている。

 私の辺野古に新基地を造らせないという思いはご理解頂けると思うが、ただ現場で頑張っている方々は大変厳しい環境でやっていますので、その思いはまた聞いていきたいと思いますが、私はこの方法でやっていくことというのは一番重要なことではないかと思っている」

 ―業者から9月7日に申請があって、許可までに3カ月かかっている。標準処理期間は20日間ということだが、3カ月間かかった理由というのは、奥港での反発というものがあったのか。

 「これ以外もあるので、担当の土木建築部長から説明をさせる」

宮城理土木建築部長

「標準処理期間は、あくまでも土木事務所で処理する期間だ。普天間飛行場代替施設建設事業に関連しては、すべて本庁で処理するという流れになっているので、その調整検討という中身では時間がかかるというのはご理解頂きたい。その旨は当初から申請者にも話しはしてきたし、その部分はご理解頂けるのでは」

 ―奥港での反発は。

宮城土木建築部長

「奥港で反発があったということが実際あったが、それをもってどうこうというわけではなく、その中身について例えば許可を前提にして何らかの形で条件を付すことができるのかどうかということは、検討はした。結果としては、港湾法令にのっとって、適正に処理していこうということだ」

 ―今回許可した背景に「公正中立厳正に判断する中で」とおっしゃっている。同時に県民としては「あらゆる手法で阻止する」とおっしゃっていたことが残っている。この「公正中立厳正」に判断する中で、というのは、法律の範囲内で行政を進めていかなくてはいけないことがある中で、法律の範囲内で知事の権限を使って、辺野古新基地建設を阻止することは可能か。

 「あらゆる手法でということで話しをさせてもらった。現場においても、私とは違うが、非暴力という形で、表現の自由ものをやったということが、ノーベル賞の平和団体から表彰といっていいのかどうか、そういうのもあった。

 いわゆる、あらゆる手法というのが、前県政が留意事項などあった中で、それを詳しく申し上げると公正中立厳正というようなことで、今日までやってきているつもりだ。

 厚生厳正中立というのは、これはしっかりと今日までの新基地を建設する中で、相当私は期間を延長させることもできているのではないかというふうに思っている。

 これからも1つ1つしっかりやる中で、物事が見えてくる部分も、外的にも内的にも出てくることもあるだろうと、いうようなことである。

 非合法で止めるということは、極端な話、そんなことは考えられない話で、極端な話し、たとえばテロとかこういったことで止めるということではない訳で、これは例としてあまりいい(ことではない)かもしれませんが、そういう意味でのことではなくて、やはり厳正中立公正に、しっかりと判断をしてくということになる」

 ―今回の申請の目的が休憩などであって、石材の搬出ではないからとも書いてある。今後、仮に中城の使用で、石材の搬出を目的に申請が出された場合にはどう対応するのか。

 「これもこの中に触れているが、1週間とすることにしているので、1週間ごとにあろうかと思う。

  新たな使用目的で申請があった場合、あらためて検討を行っていくというのは、えー(条件のどこにかいてあるのか、と謝花公室長に相談)。使用条件ですね、許可条件というのがあるので、許可条件等を吟味しながら、この港湾管理法令なども、いわゆるこの判断をしながら、これについては対処していきたい」

 ―許可条件とは詳しくはどういった条件を想定しているのか。

 宮城土木建築部長

 「一般的に付している条件。特に今回の使用に際して、新たな条件を付したわけではなくて、一般的な条件を付している。ただその中でも、条件に従わない場合には、許可を取り消すことがありますよと、これは常に付しているものである」

 ―1週間のうちに、条件に違反して、県の指導に従わない場合には、今後の使用許可を取り消すということか。

 「あり得るということですね」

 ―1週間という期限の決め方は、これもほかの案件と同じか。奥港の場合は年度いっぱいという期限を切られていたり、本部だと1カ月とかと。

宮城土木建築部長

 「中城湾港は、あれだけ利用者が多いので、バース会議というのを毎週している。そのために1週間1週間という形でやっている。これはほかの船舶もすべて一緒だ」

 ―1週間を迎えてまったく同じ申請が出たら、今回と同じように時間を掛けて審査をするのか、それとも全く同じものが出てきたら、自動的に申請が出た時点で更新していくような流れになるのか。

 宮城土木建築部長

 「全く同じということが前提だが、そのときは本庁に上げることはないと思う」

 ―本部港でいま、岸壁の使用許可申請が上がっている。県は本部町に管理を委譲している立場だが、審査基準を本部町は作成中だ。基準について、何かアドバイスするのか、助言や承認は。

 宮城土木建築部長

 「議会でも答弁したが、あくまでも本部町の判断でやることだ。審査基準についても、どうしたほうがいいと、われわれで上げることはないと思う」

 ―奥港の場合は国頭村の同意という条件に反しているのでは、とあったが、中城の場合、県の指導などにも従わない場合にはと書いてあるが、例えばどういった問題点が想定できるか。

 宮城土木建築部長

 「一般論だが、許可されている所以外のものをつかったり、許可している船舶が別の船舶になっていたりとか。そういうものは該当する」

 

●部品落下事故

 「それでは2点目。きょう午前中に起きたことなので、まだ十分に事実解明が出来ていないが、だんだん内容が見えてきたので、その認識のもとで、私のほうからコメントを申し上げたい」

【翁長雄志沖縄県知事が知事コメントを読み上げ】

 「本日(12月7日)、(午前)10時20分ごろ、宜野湾市の保育園に米軍機の部品らしきものが落下したとの情報がありました。幸いにもけが人はいないとのことです。

 基地対策課の職員を現地に派遣し確認したところ、落下物の大きさは約10センチ、プラスチックのような材質であるとの事でした。

 直ちに、沖縄防衛局を通じて米軍機の部品であるか確認を求めていますが、現在のところ、回答はありません。

 職員が撮影した写真を元に基地対策課で情報収集を行ったところ、CH―53の部品の可能性が高いことも分かりました。

 落下場所のすぐそばの園庭では、事故発生当時、40人から50人の園児が活動中とのことで、一歩間違えれば、重大な人身事故につながりかねず、深刻な事故であると認識しております。

 沖縄防衛局や米軍に対しては、速やかな事実確認を行うよう求めるとともに、仮に米軍の部品であることが判明した場合、強く抗議する必要があると考えています。

                                                                      平成29年(2017年)12月7日

                                                                      沖縄県知事 翁長 雄志」

【記者との一問一答】

「なお、この場所に来るまでに、テレビ等のニュースをみたら、どうやら事実にちかい報道をされていた。ただ確定かどうかは分からないが、防衛局長も保育園においでになって謝罪をされていた。

 間違いないな、というのはあるが、確定ではないので、それだけは申し上げておきたい」

 ―ヘリが飛ぶ前に、外すべきだった機材だったとの情報もあるが、それは整備がずさんだったとも言えると思うが、知事はどうお考えか。

「この機種はCH53Eになっていると思うが、その場合のプロペラのところに放射線物質をコントロールするというか、測定する意味合いの部品だとは聞いている。

 あのときの県民の衝撃と、政府の対応などを含めて原因究明、再発防止、そういったことがまだまだ私たちの心の中で苦しい思いで、ある意味熱い思いでのこっている中で、いとも簡単にこういうふうに部品を外さないで飛ぶ中で落ちていったという状況を聞いている。

 これは本当に、私が大臣がおいでになったり、大使がおいでになったりするときに申し上げるように、全く当事者能力がない。きょうの本会議でも質問等もありましたけれども、何回抗議しても良くならない現状をどう思うか、というようなことが、与野党問わずあり、それを今日まで私たちがいろいろやっている中で、このようなものが、何のある意味ためらいもなく1つ1つ減ることもなく行われるということは、これは本当に改めて沖縄の現状と日米地位協定、日米合同委員会等のあり方がしっかりとわれなければいけないと思っている」

―普天間飛行場の周辺で事件事故が起きると、一刻もはやく危険性除去をしてほしいという声が高まるのは自然なことだと思うが、それに関して、政府はだから辺野古移設が必要なんだというふうに主張するし、官房長官もきょうの会見でそのようなことを言っている。一方で、県としては辺野古は反対なので5年以内の運用停止を求め続けている。国は条件を付けて、県の協力がないと応じられないというふうにして、なかなか平行線というか、袋小路というか、危険性除去の突破口が見えない状況だと思うが、知事としてどう突破口を開いていきたいか。

 「日本国という国の権力、米国も外交上のパートナーとしての権力と、いうような中に、一地方自治体である沖縄県が、これにもの申して、いろんなことをやってきた。菅官房長官の発言を今聞いたが、だから辺野古が必要なんだ、というような話をされたということであります。私は、まずは前県政において、この承認にいたって5年以内の運用停止というものが、条件ではなかったと、時の副知事が話をしている。

 ですから辺野古建設、あるいは県内移設が、全体として5年以内の運用停止が言われたわけではない、というのがはっきりしているので。その意味から言うと、私が辺野古に反対をしているから、5年以内の運用停止に手を付けないんだというのは、これは私からすると、大変憤慨に堪えないという思いである。

 集中協議でも、私は申し上げた。あなた方は世界一危険だと。世界一危険な普天間をどうにかしないというときに、それで辺野古が建設されない場合には、世界一危険な普天間を固定化するんですかという質問も官房長官にも総理にも何回となく投げ掛けたが、返事が全くなかった。

 そしてそれから1、2年たって私が反対しているから普天間は動かないような話しをするわけだが、それは大変、私は国の政府の、沖縄に基地負担軽減、あるいはまた、誠心誠意からかけ離れている。いろいろな議論の中で、私が投げ掛けてもそれに対する返事がないということなどが今日まで、ある意味では10回を超えるぐらいあったと思う。

 これを言われて、だから普天間は動かないんだというものは、最近、菅官房長官の記者会見で、世界一危険と言わなくなったんですよね。今まではずーっと世界一危険だから、これを動かさなければどうするんだという話しも、コメントを述べる時にずっとお話されていたが、この正確ではないが、今年に入ってからは、その言葉がなくなってきた。

 私は、そういうところに国としての、ある意味では私たちが翻弄されるような部分があるのではないかと強く感じている。ですから、信頼関係含め、対話をするということだが、私どもが声を掛ければ返ってくるような立場では全くないものですから。

 話し合いを求めても、あるいは話し合いに入っても、やりとりというものが、なかなかない。こういったことを、ぜひ県民が理解をする中で、この戦いをしっかりみすえて頑張らなくてはいかんなと、いう風にに改めて思っているところだ」

 ―本日午前10時すぎに事案が起きて、7時間近く、6時間以上たったが、これだけ時間が経過しても、なお落下物が何であるか返答がない米軍の姿勢についてはどうか。

 「この件に限らず、昨年も安部地区にオスプレイが落ちて何の原因究明も、何にも説明もないのに、6日後には飛び立っていった。こんなものからすると、いま原因究明がまだなされない、こういったことは、沖縄では日常茶飯事だ。いくら抗議しても、抗議すること自体が時間の無駄じゃ無いかと本会議でいわれるくらい。これまでの県政、市町村長、各政党、各団体含めてみな防衛局、沖縄大使にいき、しょっちゅう同じことをいうが何も変わらない。 今の質問は、この件に限らずの話しで。きょう自民党の県議が、日米合同委員会に問題があるのではと、いう話をされていたので、認識は全く一緒ですという答弁をさせて頂いた。

 そういう風に自民党さんからもそういう質問があって、私が全く同感ですと。いうようなことの大きな壁がここにあるわけで。その意味で、今のことも含めて、じゃあ7時間たったから、またぼくが向こうからいっておかしいのではと、手を振り上げて言うかと。言うのは言うと思うが、大変むなしい行動だ。今日までのいきさつからすると」

―コメントでもCH53の部品の可能性が高いと。まだ特定はできていないが。これが明日もCH53ヘリが飛ぶかもしれない。原因究明もない。そもそも米軍は自らのものと認めてもいないが、そういう中でこのヘリを飛ばすということがあっていいのか。

「沖縄側からしたらとんでもないことだ。だから今回の地位協定改定の中には、日米合同委員会に、地元の沖縄も協議の中にいれてくれという要求もしているぐらいだが、なかなか外務省などの説明を聞くと、そういう風にはならない。今の話しは、私たちからするととんでもないという話としか言いようがない」

―今の時点では飛行は、飛ぶなというのは。原因が分かるまで…。

「それはそうですよね。そういう原因究明や、再発防止がなかったから、高江地域にそれも民間の所有地に、不時着炎上という形で起きた訳ですから。ましてや放射性物質もあったと。

 今回落ちてきたのはどういう役割をしているかは詳しくは分からないが、それに付随する部品というのははっきりしているようですので。そういったことなどを踏まえると、それでもなおかつ飛ぶということ自体の感覚が、沖縄県に対して、米国からしたら日本国という意味でもあるかもしれないが、全く一顧だにしないというのは、あるのではないか。 沖縄が日本という国から一顧だにされない、日本の政府が米国から一顧だにされないという現状が見えてくる感じがして、実に残念な気持ちでいっぱいです」

―県の側から原因究明まで飛んでくれるなという申し入れをされたか。現段階で何らかのルートで、米軍からの連絡なり、沖縄防衛局からの連絡なり、断定的なものはまだひとつもないということか。  

「CH53Eに飛ぶなということですか」

―と、いうことを申し入れたか。

「これはやっていると思いますよ。いま細かいことは、何月何日の…」

金城典和基地対策課長

「質問の1項目目。米軍に飛ぶなという申し入れをしたかということだが、現時点で、米軍のものかどうか、それがはっきりしていない現状があるので、沖縄県から直接申しあげることはしていないというのが現状だ」

「きょうの場合ね」

金城基地対策課長

「はい。きょう今現時点で申し入れていないということだ。それと、米軍からの連絡があったかという質問だが、それについては今、現時点、米軍から直接県になにがしかの連絡は無いというのが現状だ」

―そういう情報があって、調査中だとかそういう連絡も無いのか。

 金城基地対策課長

「はい。一応、県のほうに直接連絡あった件については、12時06分、沖縄防衛局からうちの統括官に連絡があった。内容は、ヘリ通過後、保育園の屋根からドンと音がしたと。上がって見たら、ビンのようなものがあったとの情報がありましたと、第一報があったところです」

 ―知事として、一刻も早く、米軍機とは特定されていないけれども、不安だから飛ぶなと飛行停止を求める考えはあるか。

「もちろん思うし、それをすることは、何も怠るとかそういった問題ではないと思う。午前中、私も議会にいて、そこで紙も回ってきた。2時、3時までは若干の特定もまだでいていないと。

 そういった中で、今記者会見、ここにくるまで何も準備もしないで来るわけではない。これは間違いないかといろいろな、じゃあ半年前にどうだったのか、と、こういたこともやりながらここに来る訳で。そうすると、抗議したらどうか、というものの発想が、それをやりとりしている時に、お前そればっかり考えておけといってやるものでもないので。 ただ、今おっしゃる気持ちはよく分かりますから。さっそく、いまの時点のベースを持ちながら、米軍にも抗議をさせていただきたい」

 ―米軍のものと特定できたら飛行停止を求めるということでよいか。

「今言う質問は、特定できなくても、そんな風に連想できる場合はやった方がいいんじゃないかという話しでしょう。これは、どちらにころんでも、それなりの欠点を持っている。だから、このへんも含めてね、できるだけはやく抗議をすると言わせて頂きたい」

 ―今回保育園の屋根に落下した。子どもたちに身近なところに危険な物が落ちた。沖縄では過去、つり下げのトレーラーが落ちて女児が亡くなった。子どもたちの上に危険が今回も降ってきたとお聞きになって、知事一番最初に話しを聞いてどう思ったか。

「やっぱり、歴代の知事がそうであっただろうと思うが、まず20年前の小学生の事件の時に、大田(昌秀元知事)さんが政治の仕組みとして、守ることできなくてごめんなさいという話をされました。

 私は去年の時に、それを意識したことは全くなかったが、同じ言葉が出て、話しをさせてもらった。今回、こういう形で、ある意味では結果的に、無事のようであるが、万万が一、それが落ちて、死傷者が出たとか、人的な被害があったような場合に、やはり今の政治の仕組みが変えられていない、というものになるので、その意味からいうと、そういう言葉がまた出てくると、いうことになると思う」(おわり)