フェイク対策にはこの本も 沖縄のアイデンティティー(本紙・新垣毅記者著)


社会
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「続沖縄の自己決定権 沖縄のアイデンティティー」(高文研)

 本紙の新垣毅記者(東京支社報道部長)の著書「続沖縄の自己決定権 沖縄のアイデンティティー」が高文研(東京)から出版された。名護市辺野古で、米軍普天間飛行場の移設に向けた新基地建設が強行されている。県内の圧倒的「民意」を押し切る形での建設強行に、反発は強い。翁長雄志知事の「イデオロギーよりアイデンティティー」という言葉が沖縄の人々の心を捉えている。

 本書は「沖縄のアイデンティティー」を、日本人のナショナリティー形成という大きな歴史的視点から捉える試みである。重視するのは、アジア・太平洋戦争後の沖縄における「祖国復帰」運動の展開と、「復帰」論議の変遷だ。日米両政府による沖縄返還プログラムが明確化した1970年前後、沖縄の知識人が「復帰」を徹底的に議論した復帰論・反復帰論に焦点を当てた。議論は「基地のない平和な島・沖縄」を目指した運動が、広大な米軍基地が残ることで挫折感を深め噴出した。その中で「沖縄人」が表明されたのだ。

 その「沖縄人」は将来展望を「日本復帰」から「自立」へと変容させた。72年の「復帰」から45年を経た今、沖縄は「自己決定権」を主張するに至った。権利獲得闘争という戦後史の流れがあってこそ、今の沖縄の立ち位置がある。この観点から本書は現在の日本本土と沖縄の“溝”を解き明かす。高文研・1600円(税抜き)【琉球新報電子版】

 

続 沖縄の自己決定権 沖縄のアイデンティー