沖縄県内農業産出1025億円 昨年、21年ぶり大台超え 子牛伸びキビ豊作


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 沖縄総合事務局が26日に発表した2016年の沖縄県内農業産出額は、前年比90億円(9・6%)増の1025億円となり、21年ぶりに1千億円の大台を超えた。肉用牛は子牛価格の上昇が産出額を押し上げ、同34億円(18・2%)増の221億円で初めて200億円を超えた。豊作だったサトウキビは同55億円(34%)増の217億円だった。産出額の4割を占めた肉用牛とサトウキビが好調で全体を押し上げた。

 県内農業産出額は1985年に1160億円で復帰後最高を記録した。2000年以降は800億~900億円台で推移し、11年は800億円に落ち込んだが、12年から5年連続で増加している。

 17年ぶりに収穫量が90万トンを超えたサトウキビは、生産農家の肥培管理の徹底や栽培技術向上に加え、適度な雨量や台風被害の少なさなど天候にも恵まれた。収穫機械の導入や増産基金など、生産振興の施策も好結果につながった。

 肉用牛産出額は県内家畜市場の子牛取引価格で高値が続いている。

 野菜の産出額は前年から22億円増加し、144億円だった。2012年度以降、一括交付金で毎年度20ヘクタールの耐候性ハウスが導入されている。気象の影響を抑えて安定的に生産できる基盤整備も、徐々に成果が表れているとみられる。県産農産物の本土への出荷費用を補助する流通条件不利性解消事業も生産意欲の向上につながっている。

 品目別の産出額は、1位が肉用牛、2位はサトウキビ、3位が豚で前年と同じ順位だった。農業産出額の全国順位は33位だった。

 農業産出額の大台到達に、翁長雄志知事は「生産農家と関係団体が一体となった努力の成果だ。県は一括交付金を活用し、畜産部門の生産対策やサトウキビの増産対策、流通コストの低減に取り組んできた。各機関と連携し、農業のさらなる振興に努める」とコメントを発表した。

 JAおきなわの大城勉理事長は「耐候性ハウスを導入するなど生産基盤が安定し、増産や安定出荷が実現した。施設の導入や流通コストの低減などで県外にも販路が広がり、生産者の意欲も高まっている。JAは販売力強化に一層取り組み、生産者を支援したい」と述べた。