伝統「葛の葉」復活 5年半ぶり、観客圧倒 木下大サーカス沖縄公演


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キツネに早変わりしふすまの裏から登場した「葛の葉」の見せ場=5日、豊見城市の豊崎タウン特設会場

 木下大サーカスの伝統古典芸「葛(くず)の葉」が5日、豊見城市の豊崎タウン特設会場で5年半ぶりに復活し、観客の前で初披露された。キツネと人間で結ばれていた男女が紡ぐ、サーカス唯一の悲恋物語に、観客は驚きと感心した表情で見入っていた。

 沖縄では2004年の公演以来13年ぶり。演者の引退に伴い、12年を最後に演目から姿を消していた。

 「葛の葉」は、葛の葉姫に化けた白キツネが夫と子に正体がばれ、森に帰る際に別れの歌を残したという葛の葉伝説を題材に、足芸を融合させた演目。見せ場では、両足で支えられたふすまの上で葛の葉姫が別れの和歌を右手、左手、口を使って自在に書き連ねる。ふすま一枚を隔てて姫からキツネに早変わりする場面では、舞台を見守る観客から感嘆が漏れた。

 孫の崎原成(じょう)君=北玉小1年=と来ていた仲宗根富士子さん=沖縄市=は「和を感じさせて素晴らしかった。伝統を絶やすことなく頑張ってほしい」と期待した。成君は「口で書いてるところが見たことなくてびっくりした」と驚いていた。

 伝統古典芸「葛の葉」は交代芸のため、公演日によっては披露されない場合もある。問い合わせは(電話)098(856)0045。