住民「いつか墜落」 恵みの浜規制に怒り 米軍ヘリ伊計不時着


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報道陣の撮影場所からようやく浜の状況を確認し「すぐに飛行ルートを変更すべきだ」などと訴える島田朝秀さん=7日午前11時30分ごろ、うるま市与那城伊計

 【伊計島=うるま】米軍ヘリが不時着した現場から約300メートル離れたところに自宅がある島田朝秀さん(70)が7日午前、現場を訪れ、幼い頃から庭のように親しんできた浜に居座る米軍ヘリをにらみつけた。「こんな小さな島で1年に2度の不時着。延長線上に墜落の可能性があるのは当たり前のこと。生死にかかわる問題だ」と語り、即時の飛行ルートの変更などを強く求めた。

 沖縄市内で木工体験ができる工房を営む。本島で療養中の母親の近くで過ごすため、平日は職場で寝泊まりしており、日曜の7日朝、自宅に戻って不時着を知った。すぐに浜に向かったが、規制で自由に出入りできないことに怒りがこみ上げた。

 タコや貝など豊かな収穫をもたらす大切な浜だ。「小さい頃からの遊び場。この元旦は日の出を見て、孫たちとカニ取りをしたばかり」。昨年12月には島にある通信制のN高校の生徒らに自宅で木工体験をしてもらった。飾り付けにした貝や海草などもこの浜で拾ったものだ。

 「安全策も示されずにまた飛び続けるなんて理不尽は許されない。機体の老朽化は分かりきったこと。どこでも落ちる可能性がある。全県的な問題だ」。繰り返される米軍機のトラブルを基地周辺や飛行ルート周辺だけの問題としてほしくないとの思いが強い言葉にこもった。

 不時着のあった6日、規制のために市議が現場に立ち入れないこともあったという。7日は県警の案内で議員は入れるようになったが、現場周辺を取り巻く規制線を見た市議の一人は「うちなーぬ地(じー)どぅやる(沖縄の土地だぞ)」とつぶやき、悔しさをにじませた。