忘れ物増、外国人対応に奔走 沖縄ゆいレール、年6千件


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
忘れ物をした外国人観光客に示す紙を紹介するゆいレール那覇空港駅の安谷屋直樹駅長=那覇市の同駅

 那覇市内を走る沖縄都市モノレール(那覇市、ゆいレール)で乗車時の忘れ物が増えている。定番の傘や帽子に交じって、パスポートや車の鍵など貴重品も。ビニール傘を除いて、その数、年間6千件余り。外国人観光客の忘れ物も多く、ゆいレールは4カ国語表記の資料を用意するなど対応に奔走している。

ゆいレールの忘れ物保管庫。「1年でいっぱいになります」と話す沖縄都市モノレール運輸課の岩崎正篤さん=那覇市内

 「ここが忘れ物で満杯になります」。那覇市内にある20畳ほどの倉庫。沖縄都市モノレール運輸課の岩崎正篤さん(29)が案内してくれた。「1年間で、傘が縦横2メートルくらい積み上がる」。今はガラガラ。昨年末に在庫を一掃したばかりという。

 ゆいレールによると、2016年度の車内の忘れ物は、15年度より約300件多い約6600件だった。17年度も1月末時点で約5800件に上る。「夏は日傘や帽子、冬はジャケットが多い。定番はお土産。雨の日は傘が何十本と集まる」(岩崎さん)

 ビニール傘はカウントしていない。安価で大量な上、落とし主が現れる可能性が低いからだ。ゆいレールは雨の日、忘れ物のビニール傘を駅の改札口に置き、自由に利用できるようにしている。

 携帯電話やパスポート、現金、クレジットカードなどを置き忘れる人もいる。岩崎さんは「泣きそうな顔で『パスポート!』と言って、空港から走ってくる人もいる」と話す。

 ゆいレールは昨年末、翻訳機能付きのタブレット端末を各駅の窓口に設置した。英語、韓国語、中国語、スペイン語表記の説明資料も作成し、外国人観光客に対応している。電話で本人確認ができれば、着払いで県外にも送る。

 忘れ物は1件ずつ県警に届け出ている。日傘や衣類などは駅で2週間ほど保管した後、那覇市内の倉庫に運び込む。半分以上は落とし主が見つからず、倉庫に積み上がっていく。およそ1年に1度、リサイクル業者に引き取ってもらう。

 「大型トラックの荷台がいっぱいになる。いくらになるか?二束三文」と岩崎さん。「置き忘れ注意箇所」として、網棚の上、駅のトイレ、券売機の前を挙げる。

 皆さん、いま一度、お手回り品をご確認ください-。