タクシーに通訳機能 外国客に対応へ 沖縄県内法人3600台


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 情報技術(IT)を活用してタクシーの利便性を高めようと、沖縄県内の法人タクシー会社でつくる県ハイヤー・タクシー協会(東江一成会長)が今秋をめどに、タブレット端末を使って法人タクシー全3600台に多言語通訳機能と電子決済機能を搭載する方向で検討している。増加を続ける外国人の需要を取り込み、ドライバーの負担を軽減することで生産性向上につなげる。

 県単位の大規模なシステム導入は全国的にも初のケースになるという。個人を含む県内全タクシー約4800台のうち、75%で多言語通訳やキャッシュレス決済が可能になる見込みだ。

 母体となるタブレット端末は、内閣府沖縄担当部局が防犯を目的に県内のタクシーに導入するシステムの活用を検討している。端末はGPS(衛星利用測位システム)などを使い、緊急時などは県警に位置情報などが即時に送信される。この防犯用端末に通訳、決済ができるアプリを導入しマルチに活用する。4月から約400台で試験導入し、課題を洗い出す予定。

 決済機能はオキカやスイカなどの国内鉄道系ICカードやクレジットカードに加え、中国人が使っているウィーチャットペイとアリペイの決済サービスも使えるようにする予定だ。通訳機能と併せて活用することで急増する外国人観光客への対応能力を高めていく。

 県内では外国人観光客が急激に増加する一方、移動手段がレンタカーや無許可のタクシー営業「白タク」に流れている実態がある。

 東江会長は「白タクは安くはないが、決済の便利さやコミュニケーションの取りやすさから利用者が流れている」と見る。端末導入でタクシーの利便性を高められるとし「(沖縄が)日本で一番進んだタクシーとなり、小銭を持たずとも多くの人に乗ってもらえるようにしたい」と意気込んだ。