炭酸飲料用い噴火再現実験 永井教諭(コザ高)に助成金 下中記念財団


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
助成金を活用して、アクティブラーニング授業に取り組むコザ高校の永井秀行教諭=沖縄市の同校

 科学技術の教育・研究の発展のために教育実務を行う者を対象にした下中科学研究助成金(下中記念財団)がこのほど、コザ高校の永井秀行教諭(地学)に贈られた。助成を活用して火山噴火を再現したオリジナル実験などを行い「生徒との対話を重視したアクティブラーニング授業に取り組みたい」と意気込む。

 永井教諭は、生徒自身が仮説を立てて行う実験とそのための効果的な座学の大切さを訴える。「実験を行うだけではただの作業であり、知識を活用していることにはならない」と話し、生徒の思考が実験を通してアクティブに展開するため、対話を重視した授業に取り組む。「今後は生徒自身に実験内容も考えさせたい」と展望を語る。

 教諭として働き始めた当初は、パソコンソフトを使用してコンピューターシュミレーションの実験を行っていた。地学の実験は時間と空間を要しスケールが大きくなることから「地学は実験、実習に向かない」と言われていたという。

 しかし、「キッチン地球科学」という、身近な物で分かりやすく伝える実験方法に出合ったことが転機となった。「どうせなら誰もやっていない実験をしてみよう」と、炭酸飲料を利用して火山の仕組みを再現する実験や台風時の風の変化を再現するモデル装置などを考案した。一部は教科書にも掲載された。

 どの実験も試作や製作などに費用がかかる。永井教諭はこれまでも文科省などから交付された研究費や助成金を活用してきた。「まずは応募しないと始まらない。成果報告など大変な面もあるけれど、実験を取り入れた授業は生徒も楽しそうだから」。これからも生徒の主体性と対話を重視した効果的な授業開発を目指す。