手話条例を可決 障がい者の沖縄戦言及 南風原町


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手話などの多様なコミュニケーション手段の利用促進に関する条例の成立を喜ぶ県聴覚障害者協会の野原龍信会長(前列右から4人目)や城間俊安南風原町長(同5人目)ら=27日、南風原町役場

 【南風原】南風原町議会(宮城清政議長)は27日の3月定例会本会議で、手話や要約筆記、点字などさまざまなコミュニケーション手段の利用促進を目指す条例案を全会一致で可決した。浦添市に続き県内では2番目。4月1日から施行する。

 県内の手話を促進する条例では初めて「沖縄戦で手話を使ったろう者がスパイと疑われ、障がいのある人達の人権が奪われてきた」と、ろう者の沖縄戦体験について言及した。条例策定に関わった県聴覚障害者協会の野原龍信会長が町内のろう者から聞き取った戦争体験が基になった。

 県内では2016年4月から「県手話言語条例」が施行されている。しかし、今回可決された町の条例では、障がいのある人が今でも文字や音声の意思疎通に不安を抱えていると指摘。手話を言語であると認識し、手話など音声以外のコミュニケーション手段の普及や支援を進めるよう定めた。

 条例案の可決を傍聴席から見守った野原会長は「手話はまだ福祉の枠内で使われている。社会の中で手話を使ってほしい」と訴えた。可決の瞬間、傍聴席の聴覚障がい者や手話通訳者など関係者らは拍手を表す手話で喜びを表現した。