沖縄県内で麻疹(はしか)の感染者が相次いで確認されていることから、県地域保健課は2日、感染拡大を防止するため関係機関の担当者を招集し緊急対策会議を県庁で開いた。県内で発症が確認されたのは4年ぶり。先月20日以降、0歳と6歳の乳幼児を含む男女12人の患者が確認されており、今後も感染の拡大が懸念される。県保健医療部の糸数公保健衛生統括監は「新学期も始まり対策強化が必要だ。まずは県民一人一人に予防接種受診の徹底をお願いしたい」と呼び掛けた。
最初に感染が確認されたのは台湾から観光で訪れた30代男性で、この男性は先月17日に那覇市内の大型商業施設などを利用していた。男性を除く感染者11人のうち少なくとも6人が男性と接触していたことが判明し、中には男性が利用した飲食店の従業員や同じ宿泊施設の利用客などもいた。県は観光地や商業施設から感染が広がった恐れがあるとみて引き続きルートの追跡調査にあたる。現在の警戒レベルは2だが、県は今後さらに流行する可能性もあるとして最大の3に引き上げることを視野に対応する方針だ。
会議では医療機関がワクチンの在庫を早急に確認することや、重症化する恐れのある乳幼児が優先的に予防接種を受診できる体制づくりを構築することなどを確認した。
感染力極めて強い
高山義浩県立中部病院感染症内科・地域ケア科医長の話 麻疹の感染力は極めて強く、患者と直接の接触がなくとも、同じレストランにいただけでも感染し得る。通常のマスクでは防ぐことができない。
麻疹に感染すると10~12日の潜伏期ののち発熱や咳などで発症し、その数日後に全身に発疹が出現する。麻疹に感染したかもと思ったら、医療機関に電話をかけて指示に従って受診すること。受診にあたって公共交通機関を使わないこと。また、あらかじめ母子手帳で予防接種記録を確認しておきたい。
2回接種していれば、通常は麻疹に感染することはない。また、中高年のほとんどが既感染で免疫があるため、感染することはまれである。リスクのある人は限られており、必要以上に不安になることはない。