今帰仁・百按司墓持ち出し遺骨 村、京大に返還協議要請


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人類学者らによって遺骨が持ち出され、戻されていない百按司墓=2016年11月、今帰仁村運天

 旧帝国大学の人類学者が戦前、沖縄県今帰仁村の百按司(むむじゃな)墓から遺骨を持ち出した問題で、今帰仁村教育委員会が3日までに、遺骨を保管している京都大学に返還に向けた協議を要請したことが分かった。照屋寛徳衆院議員が3月に送った公開質問状に対し、京都大が「今帰仁村教育委員会から同村運天人骨資料について協議の要請を受けたところであり、今後、対応について検討する予定」などと回答していた。

 京都大にはこれまで研究者団体などが返還を求めてきたが、行政が働きかけるのは初めて。遺骨返還に向けた動きが本格化する可能性がある。

 京都大は回答で、返還の意思や保管状況については「総合博物館の所蔵品については現在、順次調査を進めている」「いまだ全体の把握には至っていない」として回答しなかった。

 照屋氏は3日、京都大に再び公開質問状を送った。返還する意思の有無や返還時期を、質問状到着後10日以内に答えるよう求めた。

 旧帝国大学の人類学者によって持ち去られた琉球人遺骨を巡っては、台湾の国立台湾大学が保管している63体を返還することで県、今帰仁村と合意している。京都大学はこれまで遺骨を保管していることは公表しているが、返還するかどうかは明らかにしていない。