沖縄市長選 立候補予定2氏政策比較〈下〉 基地・行財政改革 米施設移転に差異


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続く不祥事、立て直し急務

 米軍牧港補給地区(キャンプ・キンザー)倉庫群とキャンプ瑞慶覧のスクールバス関連施設を嘉手納弾薬庫知花地区に移設することについては、2016年8月に現職の桑江朝千夫氏(62)が受け入れを表明した。新人で前市議の諸見里宏美氏(56)は受け入れに反発しており、両氏の主張は異なる。

 桑江氏は「沖縄の振興発展を図る観点から、基地の整理縮小は一歩でも前に進めなければならない」と受け入れ理由を説明する。その上で「防衛省、沖縄防衛局、市の三者協議会で周辺の交通渋滞や河川氾濫、不法投棄対策などの課題解決に着手している」とする。

 諸見里氏は「住民合意がない受け入れは許されない。機能強化につながる受け入れには反対する」と強く批判する。「返還跡地から大量の有害物質を含むドラム缶が発見され、深刻な問題になった。環境影響も含め徹底した情報開示を求める」と追及する構えだ。

 米軍嘉手納基地の運用を巡っては、最新鋭ステルス戦闘機F35Aなど相次ぐ外来機の飛来により、市内で米軍機の騒音が激化している。両氏とも騒音軽減を訴えるが、嘉手納基地の存在については認識が異なる。

 桑江氏は日本の安全保障の観点から「嘉手納基地は必要だ」と基地の存在には理解を示す一方で、騒音の激化については「外来機飛来の抑止、県外への訓練移転、場周経路の順守などを日米両政府に求める」と主張する。パラシュート降下訓練や旧海軍駐機場の使用にも抗議の意思を示す。

 嘉手納爆音訴訟原告団に名を連ねる諸見里氏は、県と連携を強化し「市民の健康、命を守る立場から、米軍機の住宅地上空の飛行禁止を国に強く求める」とした上で「将来的な沖縄の全基地撤去を目指し運動を続ける」との考えだ。航空機騒音による健康影響調査の実施も視野に入れる。

 市では下水道利用料金の請求書の一部未発送や給食の異物混入など不祥事が続いており、両氏とも組織の健全化に取り組む考えだ。

 桑江氏は「職員一人一人による内部チェック機能の強化などを通じて、法令順守や危機管理意識のさらなる徹底を図る」と主張。諸見里氏は「メンタル療養や長時間勤務がないよう業務管理をチェックし、市長とも話しやすい環境をつくる」と環境改善をうたう。

 財政運営では、桑江氏は好調な経済状況を背景に市税収入が伸びているとし「今後も多様化する行政ニーズに的確に対応するため、持続可能な税政運営に努める」とし、諸見里氏は扶助費や老朽化に伴う施設の維持管理費などの増加を見通した上で「最小の経費で最大の効果を上げ、適正な行政運営を行う」と訴えている。