争点・沖縄市長選(2)待機児童


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桑江氏―処遇改善で保育士増 諸見里氏―認可外支援策を拡充

 

 2015年国勢調査によると沖縄市の人口は13万9279人だった。10年の調査から約6・9%増で、増加率は県内で5番目に高い。女性1人が生涯に産む子どもの推定人数「合計特殊出生率」は1・97(08~12年)と県平均の1・86を上回り、全国で30番目の高さとなっている。女性の社会進出など社会環境の変化に伴い女性就業率も増加しており、保育所のニーズは一段と高まっている。

 市の待機児童数は17年(4月1日時点)で440人と県内最悪を記録した。同年10月1日時点では501人に増加した。

 市は、待機児童解消に向け子育てニーズ調査や施設整備を含めた計画書策定などを実施しており、10~17年度で計2293人分の受け入れ枠を整備した。本年度は約400~500人分の整備を目標にしている。園児1人当たりに、より多くの保育士や面積が必要な低年齢児(0~2歳児)を受け入れ、分園や小規模整備事業所などを中心に整備する意向だ。

 ただ、認可園整備を通じて定員枠を増やしているが、入所希望者はこれを上回る勢いで増加する。結果として、受け入れ枠が追い付かない現状がある。

 急速な施設整備に伴い、保育士の確保も課題となる。市担当者は「若い保育士も多く、今後の産休や育休の取得などを考えるとまだまだ保育士は足りていない」と説明する。保育士を一定程度確保した上で、年々増加する保育ニーズにも応えられる施策展開が今後求められている。

 再選を目指す桑江朝千夫氏(62)は、女性の就業率上昇や経済の好転を背景に入所希望者が増えていることを指摘。待機児童解消に向け「保育士の処遇改善や未就業保育士の掘り起こしが必要」と、さらなる対策を講じる考えだ。

 新人の諸見里宏美氏(56)は、県内でも高い待機児童数を批判する。保育士の待遇改善策や認可保育所並みの認可外の給食費支援を掲げる。「子どもが受け入れられるよう支援を強化していく」と早期解消の施策を打ち出す。