争点・沖縄市長選(3)基地負担軽減策


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

桑江氏―整理縮小進めるべき 諸見里氏―移設で機能強化反対

 

 最新鋭ステルス戦闘機F35AやFA18戦闘攻撃機が暫定配備されるなど、米軍嘉手納基地では、外来機の飛来が相次いでいる。米軍機騒音の激化に、市民からは「子どもが寝付けない」「低空飛行で怖い」などの声が市に寄せられている。2017年度の苦情件数は、記録が残る07年度以降で過去最多の312件に上った。

 100デシベルを超える爆音の発生や、日米両政府が合意した騒音措置規制(騒音防止協定)で飛行が制限されている午後10時以降の飛行も多い。先月22日には市内小学校の卒業式中に、米軍機が市街地上空を頻繁に飛び交った。米軍がうたう「地元への配慮」がうかがえない。

 嘉手納基地では昨年、SACO合意で伊江島に移転されたパラシュート降下訓練が相次ぎ、初の夜間訓練も強行された。騒音軽減を理由に移転した旧海軍駐機場の継続使用も地元の反発を招いた。沖縄市や嘉手納町、北谷町でつくる「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協)」の3首長と翁長雄志知事は共に上京し、関係閣僚に抗議する異例の事態に発展した。

 市長選に立候補を予定する現職の桑江朝千夫氏(62)は「なし崩し的な運用はあってはならない」と訴え、新人で前市議の諸見里宏美氏(56)は「市民の健康と命を守る」と主張する。騒音や合意違反の運用など、基地負担の軽減を日米両政府に訴えることでは一致する。

 一方、米軍牧港補給地区(キャンプ・キンザー)倉庫群とキャンプ瑞慶覧のスクールバス関連施設を嘉手納弾薬庫知花地区に移設する計画を巡っては、桑江氏は16年8月、基地から派生する諸問題の解決などを図る協議会の設置を条件に受け入れを表明した。

 計画では従業員約千人とスクールバス約80台が移転するため、地域住民からは周辺道路の渋滞悪化を懸念する声が上がっている。協議会はこれまで、河川氾濫の解消など具体的な問題解決を図ったこともあるが、渋滞解消については依然として具体的な解決策は示せていない。

 移設計画について、桑江氏は「基地の整理縮小は一歩でも前に進めるべきだ」と受け入れ理由を説明し、協議会で渋滞解消を含めた課題解決に着手していることを訴える。諸見里氏は沖縄市サッカー場で有害物質を含むドラム缶が発見されたことを念頭に「環境影響も含め情報開示を求める。機能強化につながる受け入れに反対する」としている。