【鳩間島=竹富】竹富町教育委員会は2018年度から、同町・鳩間島の学校存続と地域活性化に向けた「鳩間島留学制度」を始動させた。制度開始に伴い、7日には島外から同島に留学する児童・生徒の生活拠点となる鳩間島留学支援多目的施設「つばさ寮」を開寮した。これまで地元が担ってきた島外からの鳩間島への留学生募集に、町教委が主導的に関わり留学生の安定確保などに向けた取り組みを加速させる。
過疎化が進む鳩間島では1982年以降、学校存続が危ぶまれる状況が続いている。廃校を防ごうと住民らは、全国各地から子どもたちを受け入れるなどの取り組みを住民主体で進めてきた。一方で、里親となる住民の高齢化などもあり、留学生の受け入れ施設整備や受け入れ態勢の強化が求められていた。
町教委としての留学制度開始により、町教委がホームページなどで募集を呼び掛けることで周知効果を増大させるとともに、窓口も町教委に一本化することで受け入れ態勢の充実を図る狙いがある。つばさ寮は公民館長や学校長などで構成する運営委員会と町教委が運営する。
寮は鉄筋コンクリート造の平屋建てで、建築面積は約223平方メートル。定員は10人(児童・生徒8人、寮監2人)。2017年6月に着工し、18年3月に完成した。総事業費は9670万円で、内閣府の沖縄離島活性化推進事業を活用して整備した。
寮名は「鳩間島でたくましく成長し大きく羽ばたいてほしい」との思いが込められた鳩間中2年の五十棲まりさんの案が公募で採用された。
18年度は県外の小学4年生2人と中学3年生1人が施設から鳩間小中学校に通学する。3人の転入で同校の児童・生徒数は8人となった。寮監には地域おこし協力隊の2人が着任した。 7日の開寮式で西大舛高旬町長(仲田森和教育長代読)は「島々を守るには学校存続が課題となる。留学施設の完成で児童・生徒の安定確保と鳩間島の活性化が図られるものと確信している」とあいさつした。