デジタル教育支援廃止 西原町、保護者ら影響懸念


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 【西原】沖縄県西原町が、財政難などを理由に4月から「教育情報化支援事業」を廃止したことが15日までに分かった。町内の保護者や教員からは「子どもたちの学力向上や教員の負担軽減の取り組みに影響が出るのでないか」と懸念する声が上がっている。

 同事業は電子黒板、デジタル教科書等のICT(情報技術)環境整備やICT支援員の配置を行い、分かりやすい授業の実施を支援することが目的。県教育委員会によると、県内の全市町村で実施している。

 事業は国の一括交付金(ソフト交付金)を活用しており、国が事業費の80%、町が20%を負担。町は2018年度の当初予算で、ICT支援員の配置などの費用として1321万円を計上していたが、内部の査定で「教員のICTに対する習熟度が上がった」(町企画財政課)などとして、事業自体を廃止した。

 教科書改訂に合わせ、これまでは同事業でデジタル教科書を更新していたが、廃止によって対応が不透明になった。当初予定していた小学校のコンピューターの更新も見送った。

 町の対応に保護者からは不満の声も上がっている。西原町PTA連合会の伊集悟会長は「ICT支援員の廃止で電子黒板を活用した授業の質が維持できるのか心配だ。保護者に一切説明がないのも残念だ」と述べた。

 町内の教員の一人は「ICTの習熟度は教員によって差がある。今後、ICTを活用した授業で、教員の負担が増す恐れがあり、学習環境にも影響が出ないか心配だ」と話した。(松堂秀樹)