「働き方改革」浸透まだ 海邦総研調査「内容把握至らず」 残業違反罰則34%賛成


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 海邦総研(玉城秀一社長)は19日、県内企業の「働き方改革」の取り組みについての調査結果を発表した。政府が進める「働き方改革関連法案」で、残業上限違反の罰則規定や同一労働同一賃金の導入に関して、いずれも賛成する企業が反対を上回った。一方で4~5割の企業は賛否を明確に回答せず、海邦総研は「『働き方改革』の具体的内容の把握まで至っていない可能性がある」と指摘した。

 調査は3月に実施し、394社から有効回答を得た。働き方改革に関して、残業上限に違反した企業への罰則規定の導入について、賛成が34・3%(135社)で、反対の13・5%(53社)を上回った。賛成は情報通信業や旅行・宿泊業に多く、残業が長くなりがちな業界で改善意識が高いとみられる。導入に反対する企業の中には「規制されると納期に間に合わない」との指摘もあり、同業他社との競争で売り上げが減るのを懸念する回答もあった。

 同一労働同一賃金の実現に向けては、賛成が22・1%(87社)、反対が16・8%(66社)だった。能力に応じた賃金体系を持つ傾向がある情報通信業や不動産業などで賛成が多かった。

 働き方改革の取り組みは、有効回答の62・4%に当たる246社が「取り組んでいる」と回答した。昨年3月の前回調査時より8・3%高くなった。具体的には「業務プロセスの見直し」が54・1%、「年休取得の推進」44・3%、「手当の増額」33・7%と続いた。手当の増額は前回より5・9%上昇し、海邦総研の担当者は「人材不足からくる離職防止や新たな採用のために条件を上げたのでは」とみる。取り組みを未実施の企業には「一般的に小規模な企業は取り組む余裕がない」と指摘した。